GTOは村上春樹的で,現代版水戸黄門だ
なんだかよく分からないタイトルになってしまったが,3つのワードが結びついてしまったということだ。
土曜日の昼下がりに,CSを観ようと思ってテレビをつけたが,なんと地上波ではどこもやっていない(九州在住です)。
仕方がないので他に観る番組はないかと番組表を眺めていたら,「GTO」の文字が目に入ったので,選択してみる。
90年代に放送されていた反町隆史主演のやつかと思いきや,リメイク版でAKIRAが主演した2012年放送のほうだった。
GTOというドラマ自体観たことはなかったので,「どんなもんか。」と思いつつチャンネルは変えずに様子を見ることにした。
村上春樹的なリズム感
しばらく観ていると,あることに気付いた。
非常にテンポのいいドラマだ。
セリフ回しにリズムがある。
画面の切り替えは,さりげに絶妙のタイミング。
観る者にだれるタイミングをつくらせない。
そう,リズム感だ。
この感じはどこかで…というところで思い当たった。
村上春樹の小説だ。
以前当ブログで,村上春樹の小説は非常に音楽的な文体で書かれており,リズム感があるということを話題にした。
あのリズム感だ。
展開は全く春樹的ではないが,演出が非常に春樹的だ。
演出家は誰だ?
間違いなくハルキストだ!
・・・違ってたらごめんなさい。
水戸黄門的な展開
では,展開はどうかというとこれが完全に勧善懲悪。
要するに水戸黄門だ。
全ての話を把握しているわけではなく,一話の感想なので断言はできないが,少なくとも私が観た回はそうであった。
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鬼塚(AKIRA)のクラスの生徒である遥(高月彩良)は好きな男に貢ぐため,デートクラブでのバイトを繰り返していた。
そんな遥の行動に危機感を覚えた鬼塚は,遥が男に貢いでいる現場に乗り込み,男を挑発する。
「俺,面倒くせえの嫌いなんだよ…。」
と言い残して男はその場を立ち去り,遥は男を追いかける。
ラウンジの密室で二人きりになった遥と男。
交際を諦めきれない遥に対し,男は
「俺,お前を彼女にした覚えなんてないんだけど。」
と最低のセリフを言い放ち,さらに仲間を呼び出して遥に暴行を加えようとする。
遥を助けるため現れた幼馴染の村井(森本慎太郎)は全く歯が立たず,同じく救出にきた副担任の冬月(瀧本美織)も逆に暴行されそうになる。
絶体絶命の状況で,ここからはもうお決まりの水戸黄門的な展開。
まずはシュート一閃,鬼塚(AKIRA:黄門様)の登場。
さらに,助太刀に現れる鬼塚の親友・弾間(城田優:助さん)に後輩・冴島(山本裕典:格さん)。
3人で悪役共を蹴散らして一件落着。
さらに,その後遥や悪役の男たちが身に着けていたブランド物の服を引き剥がし,持っていたバッグもひとまとめにして火をつけ,赤々と燃えさかる炎を見ながら放ったセリフが凄い。
「どんなブランドの服着て着飾ってもなあ,裸になりゃみんな一緒なんだよ。」
「てめえの価値はなあ,てめえのために身体をはってくれる奴がどれだけいるかで決まるんだ。」
着飾る服のことばっか話題にしている当ブログには耳の痛いセリフです。
でも,心に刺さる名言です,ハイ。
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ということで,ここまでの考察は以下の通りである。
GTO(AKIRA編)= 村上春樹的リズム感 + 水戸黄門的展開
なんか「ヒットの法則」みたいになってますね。
スイミングスクールから帰ってきて,GTOを観ている私に「クレヨンしんちゃん観せて!」と要求してきた8歳の長男も,そのうち画面に食い入るように見つめ始めた。
小2の子にも伝わる分かりやすさなのだろう。
AKIRA編の視聴率そこそこだったみたいだけど,反町編はすごかったそうですね。
そちらも是非今度チェックしてみようと思います。