音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

早朝のコインランドリーとドミンゴのデニム

 私たちは「デニーズ」の店内にいる。

 面白みはないけれど必要十分な照明,無表情なインテリアと食器,経営工学のスペシャリストたちによって細部まで緻密に計算されたフロアプラン,小さな音で流れる無害なバックグラウンド・ミュージック,正確にマニュアルどおりの応対をする訓練された店員たち。「ようこそデニーズにいらっしゃいました」。店はどこをとっても,交換可能な匿名的事物によって成立している。店内は満席に近い状態だ。

アフターダーク村上春樹


村上春樹の小説「アフターダーク」では,彼の小説には珍しく三人称で話が進行していく。


村上春樹の小説といえば,一人称。大抵は主人公「僕」の視点で描かれる。

風の歌を聴け」も「1973年のピンボール」も「羊をめぐる冒険」も「ダンス・ダンス・ダンス」と「ねじ巻き鳥クロニクル」もそうだった。


ところが,この「アフターダーク」では主語は「僕」ではない。登場人物の名前が入れ替わりで主語になる。


冒頭の引用を読めば,この三人称が,まるで監視カメラを見ているような観察的視点で描かれていることが分かる。


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数日前のブログでも触れたように,我が家の洗濯機は相変わらず壊れたままだ。

そのため,ここのところ三日連続でコインランドリーに通っている。


早朝のコインランドリーには,当たり前だが誰も来ない。朝の3時から4時に洗濯をしに来る人間なんてそうそういないだろう。

だから私はここ三日は,家から車で5分のコインランドリーへ行く前にコンビニに寄って,ドーナツとブラックコーヒーを買うようにしている。


コインランドリーに着いたら,洗濯+乾燥機に大量の洗濯物を押し入れ,お金を払って回し始めると,乾燥が終わるまでの待ち時間に仕事をしている。

早朝で頭がよく働くので,新しい企画案などをノートに書き留めていく。


たまにコーヒーに口をつけながら,仕事に没頭しつつふと店内を見回す。

相変わらず誰もおらず,店内には誰の曲かもわからないJ-Popが流れている。

こんなときに私はいつも,「アフターダーク」の監視カメラ的視点を思い出す。


真夜中のコインランドリー。

店内には洗濯機が洗濯物を回す音と流行りのJ-Popが鳴り響く。

その中で仕事をする自分…という光景が何だかシュールに思えてくる。


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ところで,コインランドリーに行くだけでも服装には一応気をつかう。

流石にパジャマで行くわけにはいくまい。

動きやすいほうがいいので,下はデニムをチョイス。

ドミンゴ「SPELL BOUND」のデニム。

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実はあまり好んでデニムを履く方ではない。

20代の頃は,ドゥニームのスキニーデニムをよく履いていた。シルエットがよくて色落ちもいい感じ。

だから,そのドゥニームを履き潰した後は新しいジーンズを手に入れる気も起こらず,数年間デニムを履かない時期があった。


2,3年前に買い物に行った際に,妻に勧められたのがドミンゴのデニム。

試着してみると,シルエットといい丈感といい妙にしっくりきたので購入することに。


これ実際に履き始めると,履き心地が群を抜いていい。わりとタイトな見た目なのに,窮屈さがなくて,履いていて全く違和感がない。

履いたまま寝ても絶対に熟睡できる。


あまりに気に入ったので,今シーズンはチノパンも買い足した。

そのうちボトムスはほとんどドミンゴになるかも。



それよりさっさと洗濯機を直さないとですね。

でも早朝のコインランドリー時間,わりと気に入ってます。