B'zのルーツはユーロビートにあり〜再評価のススメ〜
ずっとひた隠しにして生きてきたが,実は私はB'z Partyの会員でした。
B'z Partyとは,B'zの公式ファンクラブのこと。
休眠会員となってからもう20年以上経つので,既に会員ナンバーも削除されている可能性が高いが,後にも先にも音楽グループのオフィシャルファンクラブに入っていたのはその時だけ。
過去記事で,初めて買ったCDは小沢健二の「痛快ウキウキ通り」だと紹介した。
その時には触れなかったが,初めて購入したアルバムは,中学生の時にリリースされた「B'z the best Treasure」だった。
この数ヶ月前に出ていた「Pleasure」は友達に借りてテープに録音させてもらった。
中3の夏は,受験勉強しながらひたすらこの「Pleasure」を聴き倒した。
一つの音楽グループにここまで入れ上げたのは,この時が初めてだった。
しかも,秋にはベスト盤の第二弾がファン投票で選曲され,発売されるそうではないか。
私はそのベスト盤を購入するため,少ない小遣いを結集し,来る日も来る日も近所の本屋兼CD屋に置いてあった試聴機で試聴を繰り返し,来るべき日に備えたのだった。
そうして満を辞して購入したのが,先に述べた「B'z the best Treasure」である。
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私がこの記事を書こうと思ったのは、ここ最近の世間のB'zに対する認識というかイメージが,ある曲に絞られ過ぎているという懸念からである。
「ある曲」とは,勿論「Ultra Soul」だ。
残念ながら延期となってしまった福岡で開催される世界水泳のプロモーションでも,イメージキャラクターである松岡修造氏が
「ウルトラ!ウルトラ!」
と連呼していた。
あの曲を意識しての発言であることは想像に難くない。
多分,開催された暁には,また多くの場であの曲を耳にすることになるだろう。
それはいい。
しかし,B'zと言えば「Ultra Soul」。みたいな認識は是非捨てていただきたい。
確かに曲名やサビのインパクトが強くて,元気や勇気をもらえる名曲であることは間違いない。
この曲が売れてしまったが故に,逆にB'zというユニットへのイメージを固定化してしまったような気がしてならないのだ。
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つまり,あれでしょ?
90年代がよかったって言いたいんでしょ?
そう思われる方もいるだろう。
答えは半分はイエス。半分はノーだ。
最近ネット上で,「LOVE PHANTOM」のイントロが長すぎることが話題になっていたが,誠に嬉しい限りだ。
しかし,「love me I love you」が,「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」が,「ZERO」がまごうことなき名曲であることくらい,私たち1980s世代は皆知っている。
95年に千葉マリンスタジアムにおいて敢行された四年に一度のベスト選曲ライブ「Pleasure95」のライブビデオにおいて,「ALONE」を汗だくで弾き歌う稲葉浩志の姿を目の当たりにして,男なのに本気で惚れてまいそうになったのは少年時代の私だけではないだろう。
ということで,半分はイエス。
半分はノーというのは,私が今から提言したいことが,初期B'zの音楽性に関する内容であるため,恐らく一般にはほとんど認知されていないのではないかと思っているからだ。
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ここに,「フラッシュ・バック」と名付けられた2枚組のアルバムがある。
このアルバムは97年に発売され,事実上B'z初のベスト盤とされている。
いや,ちょっと待って。
と思った方もいるだろう。
そう。
一般的にはB'zの最初のベスト盤は,98年にリリースされた「Pleasure」ということになっている。
B'zのオフィシャルディスコグラフィーにも,この「フラッシュ・バック」は入っていない。
にも関わらず,普通に店頭に出ているしAmazonでも買うことができる。
どうもレコード会社との権利問題があり,B'z側が把握しないまま発売されてしまったアルバムらしい。
だから,松本,稲葉としてはあまり買ってほしくない意向のようだ。
ちなみに,このアルバム,公式でないのに余裕でミリオン達成している。
そりゃそうか,90年代のB'zはシングルもアルバムも出せばミリオンだったから。
凄い時代でしたね。
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重要なのはその中身。
このアルバムには「OH!GIRL」をはじめとする初期B'zの名曲が多数収録されているが,特筆すべきは,デビュー曲「だからその手を離して」等初期代表曲のリミックスも収録されていることだ。
しかも当時流行りのユーロビートミックスになっている。
これらの完成度が異様に高い。
オリジナルよりも売れるのでは?と思わされる曲もある。
個人的には,「だからその手を離して」はオリジナルよりも絶対にこっち(OFF THE LOCK STYLE)で出していたほうが売れていたと思う。
B'zのギタリスト松本孝弘が,下積み時代にTMネットワークのサポートをしていたのは有名な話。
多分,初期のユーロビートミックスは,このTM時代に培われた経験が生かされたものだろう。
90年のミニアルバム,「Mars」収録の「Loving All Night ~Octopus Style ~」はもう,Aメロからサビに向かう稲葉のラップ,そしてサビでのコーラスと手拍子のカタルシスがクール過ぎて,実はEDMを20年先取りしてた?と思わずにはいられない出来なのだ!
試聴では時間が限られているため,そのカタルシスが充分伝わらず残念だ。
是非いま新曲としてリリースしてほしいと思う。
初めて聴いた若者の間で
「これ,誰の曲?B'z!?」
「超クールじゃん!」
と評判になり,SNSを介して噂が伝播。
再生回数は余裕の10億超えだ。
新たなファン層を開拓し,クラブで「だからその手を離して」のリミックスが流れ,次第に若者の間でB'z好き=クールという方程式が成立するようになるのだ。
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以上,もとB'z Partyの戯言でした。
私に音楽の素晴らしさを最初に教えてくれたB'zのお二人には心から感謝しているし,リスペクトしています。
「Ultra Soul」だけでない彼らの魅力が多くの人に伝わることを願ってやみません。