コラージュによるアルバムアートワーク
いつも「音楽と服」を読んでくださる皆様,ありがとうございます。
感謝,感謝,です。
いつもと異なる始まり方に違和感を感じた方も少なくないでしょう。
皆様のおかげで当ブログは運営できてますので,感謝いっぱいの気持ちは本当です。
ところで。
上の写真は,9年前の私たちの結婚式で使用したウェルカム・ボードだ。
完全に下手の横好きレベルだが,私が描いたものだ。
結婚式場が和モダンな感じだったので,それを意識して松の木を色画用紙で貼り付けた。
何故か松の木に梅の花が咲いていたり,脚元に水路が流れていたり,「和モダン」がテーマなのに,私と妻の格好は何故か半袖短パンという,ミクスチャーでだいぶロックな仕上がりになってしまった。
ちなみに私が着ているのは,過去記事でも紹介したフジロックのTシャツ。
下手の横好きとは言え,製作期間は2週間。
絵を描いたり,和紙や色画用紙を使ってぺたぺた貼ったりしながら,細々とした物作りをするのって,実は結構好きだったりする。
そういう絵画技法を「コラージュ」というらしい。
前置きが長くなったが,今回はそのコラージュのお話です。
コラージュ(仏: collage)とは絵画の技法の1つで、フランス語の「糊付け」を意味する言葉である。
通常の描画法によってではなく、ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法である。作品としての統一性は漸進的な並置を通して形成される。コラージュは絵画と彫刻の境界を消滅させることを可能にした。
「Wikipedia」より引用
このコラージュという技法は絵画だけでなく,例えばレコードジャケットなどでしばしば用いられる。
ロック史において,レコードジャケットのデザインにコラージュを用いたのは,おそらくだがビートルズが初めてではなかろうか。
この「リボルバー」のジャケットは,メンバーの友人だった若手のデザイナー・クラウス・フォアマンによってデザインされた。フォアマンは現在も存命で,90年代の「アンソロジー」シリーズのデザインも手掛けている。
「リボルバー」のジャケットには,フォアマンが描いたビートルズの面々の似顔絵と,切り貼りしたメンバーの写真が散りばめてある。
この,一見ごちゃごちゃしているのになぜかスタイリッシュに見えるジャケットが好きだ。
アルバムとしてのクオリティも高い。私がビートルズのベストを挙げろと言われたら,この「リボルバー」か「アビーロード」を推すだろう。
ところで,この「リボルバー」ジャケには,フォアマン自身の写真もちゃっかり入り込んでいるのだが,どこにいるかお分かりだろうか?
ビートルズのコラージュジャケの代表作はもう一つ。
「サージェント・ペパーズ」。
ビートルズのメンバーに加え,著名人,偉人が多数登場。
この中にボブ・ディランがいます。
どこでしょう?
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コラージュ技法でジャケデザインを手掛けるアーティストは,他にもいる。
これはプライマルスクリームの裏ベスト「モア・ダーティー・ヒッツ」のアルバムジャケット。
中央でポーズを取るのは,フロントマンのボビー・ギレスピー。
彼の周りの多彩なドットデザイン,実はこれまでに彼らがリリースしてきたジャケットデザインの一部がドットの中にトリミングされている。
あえてボビーの写真を白黒にして,ドットデザインの多彩さを強調しているあたりも洒落ている。
このアルバム,裏ベストなのに肝心の中身も相当充実しています。
「Come Together~Terry Farley Mix~」なんて,当時流行していたアシッド・ハウスの多幸感とゴスペルの荘厳さが絶妙にマッチングした名曲です。
プライマルスクリームは結構コラージュが好きみたいで,他にも写真+イラストを取り入れたジャケをリリースしている。
2013年の「More Light」。
花畑の中で頭にツノをつくるボビーの写真。
何でしょうか?アンガス・ヤング(AC/DC)の真似?
伝えたいメッセージは謎だが,結構好きなデザイン。
よくよく見ると,ボビーが着ているウエスタンシャツのデザインも花柄で,ジャケットデザインと合わせてある。
このアルバムも近年の彼らの作品の中ではかなりの秀作。
ラスト曲の「It‘s Alright,It‘s OK」にはいつも勇気をもらう。
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そして,コラージュ技法を駆使したジャケの名作として,忘れてはならないのがこれ。
オアシスの「Dig Out Your Soul」(2008年)だ。
現状では,オアシスラスト作。
「魂を掘り起こせ!」というタイトルを抽象的に表現したデザインだと考えられる。
手のひらの上から爆発の噴煙が上がり,そこに留まろうとする蝶,向こう側からは津波が迫っている。
わかりやすいメッセージ性は皆無だが,オアシスのノエルはこのアルバムについて
「聴く音楽ではなく,体感できる音楽にしたかった。」
と語っている。
オアシスといえば,「Don't look back in anger」に代表されるような「歌い上げ」系の曲が代名詞となっているが,オアシス終末期のノエルはクラブミュージックへの傾倒を強く意識していた。
そのことが,弟リアムら他のメンバーとの確執を生んだとも考えられている。
まあ,解散の直接の原因はツアー中に兄弟喧嘩をして,リアムがノエルのギターを叩き壊したことらしいけど。
解散直前のアルバムだが,先行シングルにもなった「ザ・ショック・オブ・ザ・ライトニング」など,オアシスの未来を感じさせてくれる躍動感溢れる名曲が収録されていて,聴き応えは充分。
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今回紹介したコラージュ技法を用いたアルバムジャケットだが,見た目の雑多さとは裏腹に,不思議と中身は統一感のある作品が多かったように思える。
手作り感があって,多彩なデザインから想像力を膨らませることができる,コラージュ技法のジャケット。
デジタル全盛の今だからこそ,そのよさがもっと見直されてもいいのではないかな,と思う。
※当記事は予約投稿日時の手違いにより,実際の投稿時間とは異なる時間で投稿されてしまいました。そのため,一度下書きに戻しています。訪ねていただいた方,申し訳ありませんでした。
教えていただいたkataruさん,ありがとうございました!