音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

KIRINjiの曲に惹き込まれる今日この頃

自宅から一番近いCD屋は,歩いて3分のイオンの中にあるテナントだ。

 

モール内のテナントだから文句は言えないが,品揃えは正直,そんなによくない。

 

洋楽の棚は数年前には4つほどあったが,現在はK-Popに押されて棚2つに縮小を余儀なくされている。

そのうちひと棚は「大人の洋楽ロック」と銘打ってあり,ビートルズストーンズ, Kiss,スティングら往年のロックレジェンドのベスト盤等が占めるので,今が旬の洋楽アーティストの棚はたったひとつ。

 

そこもColdplayP!NKなど日本で人気のあるグループのCDに占拠されていて,例えばゴリラズUnderworldあたりのワールドクラスなんだけど日本での知名度はいまいちなアーティストのCDは一つもない状況である。

 

ジャズに関してはもっと悲惨で,一つの棚をクラシックと分け合って,下二段だけがジャズ関連CDという寂しい状況だ。

 

それに対してJ-Popの棚はわりと充実している。

全部で10ほどの棚があり,有名無名問わずなかなかのラインナップだ。

 

ただ,全体的に広く浅くという印象は否めず,例えばスピッツの棚に並んでいるのは「リサイクルベスト(3枚組)」と「おるたな」「みっけ」のみ。

 

それでも,以前から気になってたけど聴けていなかったアーティストのCDが並んでいることも多く,すぐ手に取って購入できるのは実店舗のいいところ。

 

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先日,息子たちを公園で遊ばせた帰りにイオンにふらっと立ち寄り,このCD屋を散策しているときに,KIRINjiのCDを見つけた。

 

KIRINji(キリンジ)と言えば,「エイリアンズ」である。

 


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と言うか,その曲しか知らない。

この時にボーカルを取っているのは,堀込泰行

ギターが実兄の堀込高樹

 

キリンジは1996年に堀込兄弟により結成された。

2012年までに9枚のアルバムをリリースしている。

 

2000年リリースのシングル「エイリアンズ」は一般的にも広く認知されており,特にミュージシャンの間で人気の高い曲だ。

うら寂しさと不思議な浮遊感が曲全体を覆うイメージ。

その旋律は,一度聴いたらなかなか耳から離れない。

 

2013年に泰行が脱退後は,兄の高樹とサポートメンバーの編成で活動を続けていたが,2021年より高樹のソロプロジェクトとなった。

 

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今回私が見つけたのは,最新作(2021年12月リリース)の「CREPUSCULAR(クリパスキュラー)」だ。

 

手に取って,まずはジャケットの趣味がいいな,と思った。

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巨大なアイスクリームが地面にこぼれていて,大きな猫の足と紳士の靴が歩く交差点を横切る小さな堀込高樹

なぜかアリの行列も交差点を渡ろうとしている。

 

どこか寓話の世界にきたような世界観に惹かれた。

 

迷わず購入。

 

翌日,iTunesにダウンロードして出勤時に聴いてみた。

1曲目は「ただの風邪」

 

水を飲んでいる

キッチンテーブル

結局,ただの風邪

なんでもなかった

 

何時間,眠っただろう?

不思議な夢をいくつも見たな

いくつも

 

君の手のひらはbutterfly

冷たいピンクのbutterfly

僕の額をその翅で慰めた

ひらひら

はらはら


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何でもない,日常を切り取ったような歌詞。

日常の中でふと思い出す「君」の手のひらのイメージ(butterfly)。

 

電車に乗って,座席に座った時,鞄の上で組まれた自分の手が寒さで凍えて真っ白になっていることに気づいて,その歌詞との対比が少し可笑しくなった。

 

でも,いい感じだ。

曲の雰囲気は嫌いじゃない。

これは,聴けば聴くほどはまるスルメアルバムの予感。

 

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3曲目の「Firstcall」は最高だった。

Firstcall Firstcall

その名前

Firstcall Firstcall

いつだって

First take  First take

はじめから

最高 最高


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いや,本当に最高でした。

跳ねるような浮遊感と軽快な韻の踏み方の絶妙なバランス。

 

何というか,言葉で説明しづらいが,つかみどころのない中にさりげない仕掛けが満載で,そのさりげなさにはまってしまう感じ。

 

「素朴」というイメージではない。

こなれている。お洒落なのだ。

 

 

これは声質のこともあると思うけど,シュガーベイブ時代の山下達郎っぽいイメージがアルバム全体を包んでいる。

「Downtown」とかね。

ひょっとしたら高樹さん自身が好きなのかも知れませんね。

 

ちょうど,春の初めの肌寒さが残る今の季節感にぴったり。

これから,ディスコグラフィーをさかのぼってみようかな,と思えるような名作でした。

 

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3月30日にはサカナクションの新作が,そして4月1日にはレッチリの新作がリリースされる。

 

新年度で忙しいんだろうけど,嬉しいですねえ。