Deep Sea Diving Clubというバンド
先日,前の職場でのお別れのことを記事にした。
実は,その後日談がある。
31日の最終出勤日に,長年お世話になった先輩に別れの品を渡した。
その先輩とは同期で(歳はあちらのほうが5つくらい上だけど),かれこれ15年くらいの付き合いがあるが,今回同じ職場になって三年間一緒に働いた。
用意周到,親切な人柄の上,緻密な仕事ぶりで上司からも部下からも絶大な信頼を集める人だ。
この先輩に挨拶をしている時にふいに話題が逸れ,
「そういえば,義理の弟がやってるバンドが最近結構売り出してて。」
と言い出したので,
「メジャーですか?」
と聞くと,先輩は頷き
「タワレコでもパワープレイされていて,いま全国のクラブサーキットで回っているらしい。」
とのこと。
「バンド名は?」
と問うと
「Deep Sea Diving Club」
と言うそう。
響きがいいね。
直訳してしまうと,変てこな感じになってしまうけど。
聞いたことのないバンド名だったが,ジャズなどをルーツにしたシティ・ポップらしい。
先輩とは付き合いが古いので,私がアメフトをやっていたことや,フジロックに毎年参戦していたこともよく知っていて,何かとこういう面白い話題を提供してくれる。
「聴いてみます!」
と約束し,その場を辞した。
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で.社交辞令ではなく本当に聴いてみた。
Deep Sea Diving Clubで「Just Dance」。
MVでは,深夜の都市高速を駆け抜ける一台の車。
芝生の上で演奏するバンド。
メンバーは三人。
椅子が一つ空いている。
もう一人のメンバーが駅のホームをダッシュする。
階段を駆け降り,駅前に停めている自転車に飛び乗ると,深夜の車道の真ん中を駆け抜ける。
街灯の下,儚げに揺れる自転車のライト。
彼はまもなく芝生の家に到着し,自転車を降りると一目散に中に駆け込んだ。
四人揃ったダイミングが,曲の一番の盛り上がり処。
まるで,夜風のようにさりげなく,でも確かに耳に残るグルーヴだ。
このMVの舞台が何処なのかははっきりしなかったが,都市高速などの様子は見覚えがあった。
彼らが拠点とする地方都市なのかも知れない。
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Deep Sea Diving Clubの曲を聴きながら,アーティストと,そのルーツになる土地や気候っていうのはどこかでつながっているのだろうな,という気がしてきた。
イギリスのアーティストの曲からは,総体として曇り空を思わせるどこか憂鬱な,そして知的な雰囲気を感じ取ることができる。
アメリカ西海岸のアーティストの曲からは,カラッとした,スコーンと抜けるような清々しさというか潔さを感じることが多い。
あくまで,総体として,だけど。
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Deep Sea Diving Clubに話を戻すと,彼らと同郷のアーティストには,例えば椎名林檎がいる。
彼女の音楽からは、どうしても中洲の匂いがするのだ。
雑多で,如何わしくて,妖しくて。
ちなみに彼女はブレイク前に地元ラジオ局で「悦楽パトロール」という変な名前の番組をやっていて,泣きぼくろのエピソードなんかを話してくれていた。
あのホクロは,泣きぼくろに憧れていた少女時代の彼女がマジックで目の下にホクロを描き続けていたら,いつの日かそれが消えなくなって,本物のホクロになってしまった,というエピソードだ。
「染みじゃないの?」
というリスナーからのお便りにも
「少しもっこりしてるし,本物のホクロなんです!」
と力説していた。
話は逸れたけど,Deep Sea Diving Clubの曲はなかなかクールですよ。
3月30日にデビューアルバムもリリースしています。
全国にその名を轟かせてほしいものです。
MVはこちら。
まだ買ってないけど。
子どもたちの習い事の間に,買ってこよう。
それではまた。