お酒とロック
新しい職場で,予定されていた歓送迎会が中止となった。
コロナが再拡大の様相を見せ始めているし,仕方がない判断だと思う。
正直,そのような事態は一昨年の春から世の中がコロナ一色に染まって以来何度となく繰り返されてきたのでむしろ慣れっこになってしまっている。
ところで意外だったのが,部内での飲み会に誘われたことだ。
これまでの職場では,そういった内内の飲み会も制限されてきたので,仕事上での飲み会は一切なかった。
まあ,仕事以外でも実のところ,コロナが始まって以降外で酒を飲んだのは昔からの友人たちと集まった去年の12月のたった一度きりなのだけど。
ということで,仕事関係の飲み会に約3年ぶりに行くことになりました。
おかしなもので,家族と出かける時以外に私服を着ていく機会がここ数年はほとんどなかったので,「夜の街」「飲み会」「仕事関係」(しかもまだ付き合いの浅い方々と)といったシチュエーションは久しぶり。
何を着ていくべきか。。
こういうことについて考えるのは決して嫌いではありません。
せっかくの機会なので楽しめたらいいなと思います。
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ところで,「お酒」に関して,村上春樹のエッセイを読んでいたら次のような記述を見つけた。
僕はおおむね早寝早起きのパターンで暮らしているけれど,たまに遅くまで起きている夜があり,そういうときにはだいたいウィスキーのグラスを傾けることにしている。そして聴き慣れた古いレコードをターンテーブルに載せる。なんといってもジャズがいいですね。ここではCDよりは昔ながらのビニール・レコードの方が,やはり雰囲気にあっている。
そういう場合の,僕の好きなウィスキーの飲み方はなんといっても「トゥワイス・アップ」だ。バーなんかでおいしそうな水があれば,オン・ザ・ロックで飲むこともあるけど,うちではだいたいこの「トゥワイス・アップ」で飲んでいる。作り方は簡単で,ウィスキーをグラスに注ぎ(正式には脚付きのグラスが好ましい),同量の水(常温)をそこに加える。くるりとグラスを回して馴染ませる。それだけ。なにより簡単だ。
僕はスコットランドのアイラ島に行ったときに,地元の人から「これがいちばんおいしいウィスキーの飲み方だよ」と教わって,それ以来おおむねそういう飲み方をするようになった。
「村上T」村上春樹
いちいち洒落ている。
「ウィスキーのグラス」
「古いレコードをターンテーブルに」
「なんといってもジャズ」
「オン・ザ・ロック」
「トゥワイス・アップ」
このような,浮き世離れしたカタカナワードが,世のアンチ・ハルキストを刺激しているのは想像に難くない。
私はウイスキーなんてほとんど飲んだことがないし,酒も強い方ではないので,これからも縁がありそうにないが,九州という土地柄か,焼酎はよく飲んできた。
だから,村上さんのように洒脱な文章は書けないが,言葉だけ変えてみて「焼酎」バージョンでしょうもない文章を書くことはできる。
それが下の文章だ。
僕はおおむね早寝早起きのパターンで暮らしているけれど,たまに遅くまで起きている夜があり,そういうときにはだいたい焼酎カップを傾けることにしている。そして聴き慣れた古いCDをチボリのオーディオにセットする。なんといっても昔のロックがいいですね。ここではデジタル・リマスター音源よりも昔ながらのくぐもって音の輪郭がぼやけている音源の方が,雰囲気にあっている。
そういう場合の,僕の好きな焼酎の飲み方はなんといっても「お湯割り」だ。居酒屋なんかでおいしそうな氷があれば,ロックで飲むこともあるけど,うちではだいたいこの「お湯割り」で飲んでいる。作り方は簡単で,熱いお湯を半分ばかり焼酎カップに注ぎ(できれば陶器のカップが好ましい),同量の焼酎をそこに加える。マドラー(棒)で軽く混ぜ,馴染ませる。それだけ。なにより簡単だ。
僕は長浜の屋台に行ったときに,隣の席で飲んでいた親父から「これで飲む芋(焼酎)がいちばんうまかたい」と教わって,それ以来おおむねそういう飲み方をするようになった。
この話は本当で,私は家で焼酎を飲むときにはたいていお湯割りにして,竹輪なんかをつまみにちびちびやっている。
こんな時にかける昔のロックというのはたいていボブ・ディランあたりで,「ブロンド・オン・ブロンド」に入ってる「I want you」なんかは最高にいかしてます。
「酔いどれ詩人」のディランは,不思議と焼酎の雰囲気にマッチしてるんだな。
まだ肌寒い日が多い今日この頃には,筍なんかをつまみにしても旨そうだなあ。
朝から酒臭い話で失礼しました。
今夜もいいお酒を飲みたいな。