ポロシャツとハマ・オカモトのルーツ
私はLINEにラルフローレンの公式アカウントを登録している。
たまーにチェックしているのだが,先日久しぶりに開いてみたら,面白そうな企画をやっていた。
ラルフローレンが定番として毎年春から夏にかけて展開している,豊富なカラーバリエーションのポロシャツ。
今回,ポロシャツ特集ということで,様々カラーバリエーションとかけて「カラフルなアイデンティティを持つ方々へのインタビュー」という企画があったのだ。
第六回がOKAMOTO'Sのハマ・オカモト。
彼のことは恥ずかしながら,浜ちゃんの息子だとか,星野源バンドの一員という世間一般の認識しかなかったのだが今回記事にするにあたって数曲OKAMOTO'Sの曲を聴いてみて,これまでの不勉強を改めて反省させられた。
とてもいいバンドだったからだ。
OKAMOTO'Sの音楽については最後に触れることにして,ここではハマ・オカモトへのインタビュー記事を基に,彼がルーツとしているミュージシャンや時代背景などを掘り下げていきたいと思う。
今回の記事でハマが着ているのは,ブルーとブラウンのポロシャツ。
上はブルーのポロシャツ着用時の写真。
見るとすぐにわかると思うが,ラルフローレンのポロシャツというのは,大体のフォルムはいつの時代もほぼ決まっている。
少し開き気味の襟元や,背面の丈が若干長くなっているデザインや,全体的にタイトなつくりになっている点などだ。
オリジナルブランドであっても,トレンドによってシルエットが変わってくることはよくあるが,ラルフローレンはこのあたりは普遍的なデザイン,シルエットを貫いているようだ。
それでハマの着こなしをみていくと,インナーに鮮やかな赤のラインの入ったTシャツを着てアクセントをつけ,腰にはブルーストライプのシャツを巻き,ボトムスはベージュと,爽やかさの中にも遊び心を感じさせる組み合わせになっている。
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以下は,「洋服を音楽に例えると,例えばポロシャツはどんなジャンルの音楽だと思いますか?」という質問に答えたハマのコメントの引用である。
あくまでも印象ですが,例えば,80年代のネオモッズ。身なりに気を遣って,ファッションも音楽も楽しむ60年代のカルチャーを新解釈したもの。実際にポロシャツを着ていたバンドも多いと思います。そういった,清潔感に直結した音楽なんじゃないかな,ダイブしたり頭を振るようなスタイルじゃなくて。
ハマが語っている80年代のネオモッズというのは,スタイルカウンシルやポリスあたりが牽引した世代ではないだろうか。
ということで,この世代のロックミュージシャンのファッションを振り返って検証してみよう。
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1 ポール・ウェラー(スタイルカウンシル)
まずは当ブログではお馴染みになった,オールタイムお洒落番長・ポール・ウェラー。
彼は80年代の「ロッキング・オン」においては,表紙になった回数はポリスのスティングとともに群を抜いて多い。
この写真では,胸から上の部分しか映ってはいないが,メッシュ素材で線の太いブルーボーダーシャツを涼しげに着こなしている。
大ぶりなネックレスがアクセント。
清潔感が漂っていますね。
この時期のポール・ウェラーの色気というかオーラとかいうのは,何とも神がかっている印象がある。
2 スティング(ポリス)
2人目はポール・ウェラーに並んで,80年代のロック・アイコンとして絶大な人気を誇った,スティング。
こちらはタイトなブルー・ボーダーのTシャツ。
襟ぐりは,胸元まで見える広いつくり。
袖口も短く,逞しく日焼けした腕が映える。
彼の持つもともとの精悍な印象と,爽やかな大人の色気を感じさせるような着こなしだ。
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80年代のファッションアイコン二人の着こなしを見ていると,ハマが語っているように,
「身なりに気を遣って,ファッションも音楽も楽しむ60年代のカルチャーを新解釈した」
という言説にも納得する。
同じく「ロッキング・オン」の80年代バックナンバーの表紙を眺めていると,ローリングストーンズやデヴィッド・ボウイなど60・70年代から活躍しているベテランミュージシャンも多く見かけるが,彼らの装いはどこか60~70年代のヒッピームーブメントを引きずっている感があり,言葉は悪いが少々野暮ったいのだ。
そんなベテラン・ミュージシャンと比較すると,ウェラーやスティング,ペットショップボーイズなどは,カジュアルで洗練された装いでシーンに新たな風を起こしているように思える。
個人的には,下のチープ・トリックの二人の着こなしもかわいいなと思いました。
右のバン・E・カルロスは真っ赤なクルマのイラストが刺繍された緑地のセーターにキャップという粋な着こなし。
左のロビンはウエスタン調のブルゾンに柄シャツ。
二人ともトップスは派手ながら,ボトムスを黒にしてしっかりとバランスを取っている。
最近は古着がリバイバルで流行っているようだ。
そう考えると,やはり今風(2022年現在)のトレンドに近いシルエット,着こなしと思いませんか?
ルーツを知ることで,その音楽的感性やファッションにどんな思いが詰まっているのかを想像できる。
これも音楽の楽しみ方の一つなのではないのかな,と思う。
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最後に,OKAMOTO’Sについて。
「NO MORE MUSIC」という曲のMVを観たら,一発でハートを鷲掴みにされた。
そのリリックのもつ意味や彼らが伝えたいことに深く共感したことも大きいが,知的でエッジの効いた演奏も彼らの大きな魅力。
これはアルバム買ってみるべきだろうな。
6月になって初めての休日です。
何かと忙しい時期ですが,週末くらい素敵な音楽聴いて,お気に入りの服を着て気分よく過ごしたいものですね。
それでは,また。