ヒッピー・ムーヴメントとファッションについて
先日,通勤中にカーラジオを聴いていたら
「ポール・マッカートニー,史上最高齢(80歳)でグラストンベリー・フェスのヘッドライナー出演を果たす。」
というヘッドラインニュースが流れてきた。
そうか。
ポールはもう80歳になるんだ。
ということは,2015年に京セラドームで観た時には73歳だったのか。
その時も,3時間のステージで一度たりとも水を飲まずに最後まで歌い切ったサー・ポールに戦慄したのだが,あのポールなら80歳の今でも歌い続けていても不思議ではない。
ポール・マッカートニーはザ・ビートルズの一員として1960年代にデビューしてから,半世紀以上も第一線で活躍し続けていることになる。
ちなみにグラストンベリー・フェスというのは,イギリスで最も権威のあるロック・フェスで,これまでオアシスやブラーをはじめとして,多くの著名アーティストがそのステージを踏んできた。
ところで,この「ロック・フェス」という文化が,実は1960年代のヒッピームーヴメントに端を発していることをご存じだろうか。
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世界で最初のロック・フェスとして認知されているのが,アメリカで行われた「ウッド・ストック」だ。
このウッド・ストックは当時の世相を反映して「愛と平和」を謳い,ベトナム反戦主義やヒッピー・ムーブメントと結びつき,40万人以上の観客を集めたとされる伝説的イベントである。
ジミ・ヘンドリックスの出演は有名だけど,40万人じゃあ,ほとんどの人は観てないだろう。
だってスクリーンもない時代でしょうから。
99年くらいにGLAYがやった「GLAYEXPO」だって20万人だ。
あの時テレビに映し出された大観衆のほとんどは,ステージ各所に配置された巨大スクリーンに向かって歓喜していた。
「ライブの意味ないやん。」
と当時思ったが,一つところに集まることに意義があったのだろう,と今は思う。
20万人を一挙に集結させる当時のGLAYの集客力も半端ないけど。
その倍の人数がアメリカの農場に集まり,熱狂したことを想像すると・・・うまく想像できない。
流石にスケールが違う。
1960年代後半の「ヒッピー・ムーヴメント」は,実は現在のロック・シーンにも影響を与え続けている。
精神的にも,ファッション的にも。
当時の時代の空気感が,ミック・ジャガーの半生を描いた本「ミック・ジャガーの成功哲学」という本に描かれていた。
チャートでは「品行方正な音楽」がロックと共存していたが,それ以外のところで保守派と若者の対立は激化していた。トラファルガー広場でハイになっていた若者が,「公序良俗違反」で逮捕というくらいならまだ笑って済まされた。長髪だったためにヒッピーと疑われ,ドラッグを持っていないか調べられれば,それはそれで箔が付くことだった。それがさらにエスカレートし,バンドや機材を詰め込んで移送するヴァンがパトカーに退屈しのぎに止められ,クスリを隠していないかと,スピーカーのキャビネットのカヴァーを無理やり剝ぎ取られる事態になった。
私は1980年代生まれだから,ヒッピー・ムーヴメントに関しては原体験世代ではないが,当時のファッションやら音楽に触れるなら,まずは映画「イージー★ライダー」をお薦めする。
二人の男がバイクで大陸を旅していく話だけど,旅の途上で出会う人々のカラフルな装いや,BGM(ニール・ヤング,ジミヘンなど)から「自由」を求めた当時の若者の生き方のようなものを窺い知ることができる。
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当時のファッションも,その前後の時代からは想像できないような,カラフルなものになっている。
下の写真は,ローリング・ストーンズのミック・ジャガーと,ビートルズのポール・マッカートニーの貴重な2ショット。
1960年代後半のものと思われる。
ミックはエスニック風の柄の入った派手なシャツに,白いジャケット。ボトムスはベロアのパンツ。
正直ミックのファッションをお洒落と思ったことはあまりないが,全体的なシルエットのバランスがよく,この格好に関してはわりといけてると思ってしまう。
惜しむらくは,ボトムスの素材がベロアでなければもっとよかったのに。
派手なシャツと派手なベロアがケンカしている。
でも,ベロアだからこそ時代を感じるというのもある。
ポールはかわいい格好していますね。
無難にトレンドを取り入れているあたりが,なんとも彼らしいというか。
そのビートルズ。
1967年発表の「サージェント・ペッパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」ではメンバー全員が,ヒッピー・ムーヴメントに影響を受けたと思しき格好で登場する。
総柄,カラフルというのはヒッピーというカウンターカルチャーのある意味象徴とも言えるのだろうか。
ちなみにこのアルバムでは,「ラブリーリタ」が好きです。
そのヒッピー・ムーヴメントも,1970年代に入る頃には落ち着きを見せてくる。
ビートルズのファッションも,60年代終わり頃になると少し落ち着きを取り戻す。
これは解散前,1968年あたりの写真ではなかろうか。
まだポールの髭が伸びてないので。
かっこいいですね。
ハットを被ったジョンとジョージ。
ジョージがジャケの下に着ているデニムシャツや,リンゴのスカーフがムーヴメントの残り香を感じさせるが,全体的にバランスが取れていると思う。
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ヒッピー・ムーヴメントというと1960年代。
今から60年も前の出来事になっていて,現在における影響なんてほとんどないのではないか,とも思ってしまうが,フジロックなんかにいくと,そのカルチャーの根深さを感じることも少なくない。
会場に行くと,ヒッピー風のファッションに身を包んだ方々とたくさん会えるからだ。
ステージに出ているアーティストも,そのあたりを意識してくるお洒落さんもいる。
上のCHARA姐さんのステージとかね。
昨今は長らく続いたモノトーン・コーデの流行が終焉しつつあるようだ。
ファッション誌を読んでいると,トラッドやカレッジ風のスタイルを少しずつ目にするようになってきたが,いずれまたヒッピースタイルのリバイバルもあるかも知れない。(もう来ていたらごめんなさい)
嫌いではない。
リラックスした感じとか,派手な色味なんかは。
楽ちんな格好がいいなあ。。と最近特に思う,アラフォーの独り言でした。