音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

1970年代,世界で最も影響力のあるファッション・アイコンだったキース・リチャーズ

先日,博多駅の大型書店を訪れたら,ずっと探していた「ロッキング・オン」の最新刊がようやく見つかった。

「JAPAN」は小さい書店の音楽コーナーに置いてあることも多いが,「ロッキング・オン」は最近ではまず見かけない。

 

タワーレコードなどの大型CDショップか,規模の大きな書店に行かないと買えない。

 

それか,Amazoneなら買えるのだけど,注文して数日待たねばならないから二の足を踏んでいたのだ。

 

とりあえず買えてよかった。

表紙は,ザ・ローリングストーンズの四人だった。

 

今回は,結成60周年記念特集。

60~2010年代まで,年代ごとに彼らの歴史を振り返り,総括する気合の入った特集である。

 

この号を読んでいたら,我が家のCD棚には昔友人からプレゼントされたストーンズのDVDがあったことを思い出した。

 

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それは2010年頃映像化された,「ストーンズ・イン・エグザイル~『メインストリートのならず者』の真実~」という作品だ。

 

この作品は,ストーンズ最高傑作のひとつとされるアルバム「メインストリートのならず者」の制作過程で,南仏にあったキース・リチャーズの邸宅の地下室で行われたレコーディングの様子が収められたドキュメンタリー・ビデオだ。

 

70年代初頭,ストーンズの面々はマネージメントの不行き届きにより,イギリス国内で多額の税金支払いを要求されたため,それから逃れるためにフランスへの移住を図ったのだ。

 

フランス国内で適当なレコーディングスタジオを見つけることができなかったメンバーは,結局キース邸の地下でのレコーディングを敢行することになる。

 

ストーンズのメンバーは30代を少し過ぎたくらい。

サポートやエンジニアも含め,家族で移住しているメンバーもいて,それらが一堂に会したため,さながら「ストーンズ一族」のようになった。

地下では夜な夜な楽器が鳴り響き,煙草やウイスキーでは飽き足らず,あろうことかドラッグまで入り乱れるカオス状態になったという逸話だ。

 

そのようなカオス状態でも,完成したアルバムは驚くほどハイ・クオリティーな作品となった。

ルーズさと精緻さが奇跡的なバランスで共存しているのだ。

 

私は,数多くあるストーンズの作品の中でも必ず聴かなければならないものが4枚あると思っているが,当然この「ならず者」も入っている(ちなみに,あと3枚は「スティッキー・フィンガーズ」「レット・イット・ブリード」「イッツ・オンリー・ロックンロール」)。

 

ところで,このDVDを10年ぶりくらいに観たが,当時よりも彼らの曲や人間関係についての理解が深まっているので,大変面白く観ることができた。

 

そしてもう一つ。

当時の彼らがいかに世界的に影響力を持ったアーティストであったかを映像で改めて確かめることができた。

 

ストーンズが動けば人々が動く」というのは,決して大げさな表現ではない。

 

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今回は,ザ・ローリング・ストーンズの象徴ともいえるギタリスト・キース・リチャーズにスポットを当てる。

 

なぜキースか?

 

理由は簡単である。

 

格好いいから。

 

DVD「ストーンズ・イン・エグザイル」を観ていると,キースの格好よさは抜きんでている。

 

勿論,ミックだって若くて精気に溢れているし,チャーリーだって落ち着いていて気品のあるファッションはさすがデザイナーの卵だった人とうなってしまう。

 

だけど,キースは飛びぬけて格好いい。

 

もともと無頼漢的な雰囲気は漂わせていたキースだが,この時期は子どもが生まれて父親になった頃で,家族を養う男としての色気も出てきている。

 

 

例えば下の写真。

Keith Richads「ストーンズ・イン・エグザイル~『メインストリートのならず者』の真実」より

シャツの下は裸という,こんな格好,なぜか当時のミュージシャンには多い。

ジミー・ペイジロバート・プラントも胸毛とおへそがいつも出ていた。

 

キースは腕まくりした白いシャツを無造作に羽織り,煙草をふかしている。

ボトムスもベルトはしておらずリラックスした雰囲気で,休暇っぽい雰囲気。

 

 

次の写真は部屋の中での一枚。

Keith Richads「ストーンズ・イン・エグザイル~『メインストリートのならず者』の真実」より

総柄シャツ・・・紅葉柄だろうか?

よくよく見るとかわいらしい絵柄のシャツを着ている。

煙草を片手に,こちらもリラックスした表情。

彼の表情から,あまりストレスなくレコーディングに取り組んでいる様子が想像できる。

 

 

3枚目はギターを抱えた一枚。

襟と袖口が花柄になっているウエスタンシャツだろうか。

ヒッピームーブメントの影響が見受けられる。

Keith Richads「ストーンズ・イン・エグザイル~『メインストリートのならず者』の真実」より

流行を追うことが好きで,その影響はファッションや音楽性にも顕著に表れるボーカルのミックに比べると,キースという男は音楽はあくまでルーツであるブルース,そして服もあまりゴテゴテしてなくてさらりと羽織れるものを好むようだ。

 

 今でも転がり続けるオリジナル・ストーン,キース。

今後も,その奔放なギタープレイとファッションに注目していきたいものです。

「rockin'on」2022.9
メイン・ストリートのならず者

メイン・ストリートのならず者

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 最後にご紹介するのは,「メインストリートのならず者」から,今でもライブの定番となっている「ダイスを転がせ」。


リラックスした雰囲気で唸るグルーヴが,休日にぴったりです。


よい休日を。

  


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