1980年代のザ・クラッシュのファッション
「村上ラヂオ」を初めて聴いた
先日,早朝にニュースサイトを閲覧していたら,1月29日に放送された「村上ラヂオ」についての記事を見つけた。
その日の特集が「1980年代ヒット・パレード」で,マイケル・ジャクソンやらヴァン・ヘイレンなどのヒット曲を流していたそうで,サイトの一番下に出ていた「ラジコなら1週間無料視聴」というリンクに心を動かされ,早速ラジコをインストールしてみた。
するとまあ,真夜中の仕事部屋に訥々とした村上さんの声が響き渡るわけです。
原稿を棒読みしているような平坦な声で,曲間に感想のような紹介のような一言を入れて後はひたすら曲を流していく。
80年代と言えば村上さんは,経営していたジャズバーを閉め,執筆業に専念し始めた頃で,ジャズからは少し離れてポップスやクラシックを多く聴いていたということだ。
自分が愛聴していたポップスや、リクエストのあった曲とのエピソードをぼそりと呟きながら曲をかけておられた。
おかげで1時間,私が物心ついた頃(1983年生まれです)に聴いていたと思われるヒット曲たちにどっぷりと浸かることができた。
紹介されていた曲がそうだからかもしれないが,何だか煌びやかで華やかな曲が多い印象だ。
というわけで,ここ数日私の興味は80年代ポップスに移り,マイケル・ジャクソン「スリラー」やU2「ヨショア・ツリー」などを聴いているのです。
クラッシュ好きだったよなあ・・・
以前,パンク・ファッションについての記事を書いたことがあり,セックス・ピストルズのジョニー・ロットンを取り上げたこともあるが,パンクバンドとしては,実は私はクラッシュの方が好きなのである。
クラッシュはピストルズと同時期に活躍したパンクバンドだ。
ピストルズが早々に消滅したのに対し,クラッシュのほうは70年代から80年代にかけて,音楽性を多様に変化させながら,息の長い活動を続けた。
彼らのアルバムでは,最高傑作と名高い「ロンドン・コーリング」(1979年)も好きだが,今回は1980年代にスポットを当てているので「サンディニスタ!」(1980年)をヘビー・リスニングしている。
このアルバムは,音楽的にはパンクよりもレゲエの要素の方が多くなっている。
「パンク」と言えば,「速い」イメージだと思うが,このアルバムはテンポもスローな曲が多い。
36曲という膨大な情報量が詰め込まれたアルバムで,「取っ散らかっている」と不評を囲うことも少なくなかったようだが,クラッシュというバンドの音楽的多様性やユーモアが詰め込まれていて,私は嫌いではない。
ところで私がクラッシュというバンドを支持する理由は,楽曲のよさもあるのだが,その見てくれのよさもある。
お洒落なのだ。
クラッシュと言えばボーカルのジョー・ストラマーは有名で,フジロックにも何度も出演しており,日本にもファンは多い。
ギターのミック・ジョーンズは,あのリバティーンズの1stのプロデュースをしていたし,ベースのポール・シムノンは2010年代にブラーのデーモンとバンドを組んで一枚アルバムを出していた。
しかし私がクラッシュのメンバーで最も(ファッション的に)注目しているのは,ドラマーのトッパー・ヒードン(ジャケ写の左から2人目)だ。
写真が小さくて少し見づらいが,コートやスラックスの全体的なシルエットがとても洗練されている。
こちらはブックレットの写真。
トッパーはやはり左から2人目。
大き目のキャスケットを斜めに被り,こちらもなかなか決まっている。
薬物中毒で脱退するまで,在籍期間は5年ほどと短かったが,彼がバンドにいた期間はまさしくバンドの絶頂期と重なる。
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最近のファッション・トレンドとの比較
「サンディニスタ!」のジャケ写のトッパーのファッションと,ここ最近のヨーロッパのファッション・トレンドを比較してみる。
まずこちらは,ベレー帽とトレンチ・コート,短めのスラックスというスタイル。
クラシックなスタイルだけど,赤のボーダー・チェックが外しとなっている。
「サンディニスタ!」ジャケ写のトッパーもベレー帽っぽい帽子にコートを羽織っている。白黒なので色使いははっきりしないが,ベストが赤なんかだと,いいアクセントになりそう。
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こちらはニット帽にオーバー・サイズのピー・コート,ハイネック・セーターをタックインしてスラックスは少し大きめのサイジングになっている。
全体的に渋めの配色だが,スラックスのサイズ感は,こちらの方がトッパーのスタイルに近いようだ。
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こちらは,クラッシュ5作目「コンバット・ロック」(1982年)のブックレット。
トッパー(左から2人目)は袖なしのシャツ姿。
右端のミックのスタイルはサスペンダー付きのホワイトジーンズに,大きく前をはだけたシャツ姿。
煙草をくわえる姿がたまらなく渋い。
流行は繰り返すものなので,現在のトレンドもまた移ろっていくだろうが,トレンドを意識しつつも自分なりのスタイルを持っていたのがクラッシュの面々だったのではないかと思う。
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それでは,最後にクラッシュの「サンディニスタ!」から「ポリス・オン・マイ・バック」。
カバー曲らしいけど,これ聴いたらワクワクします。
土曜日ですしね。