00年代と90年代ファッション,どちらがお洒落?
ファッション90年代リバイバル化が叫ばれて久しい。
この間,職場の同僚と立ち飲み屋で一杯やっていたら,天神大名のあたりに最近また古着屋が増えているらしい。
私が学生の頃はちょうど古着ブームの真っ盛りで,大名にもスピンズをはじめとした古着屋が文字通り軒を連ねていた。
私も講義の合間に暇さえあれば天神まで出て古着を漁っていた。
同僚とは同い年だったので,学生時代のそうしたファッション事情でも盛り上がった。
ところで,私が10代後半から20代を過ごした00年代は青春真っ只中の時代と言い換えてもよい。
その頃に活躍したアーティストのファッションは記憶に新しいところだ。
現在のトレンドと比べてどうなのだろうか?
なんなら,00年代〜ポスト・パンク・リバイバル世代と,90年代〜ブリット・ポップ世代のファッションを比べたらどんな違いが浮かび上がってくるだろうか?
そんな疑問が湧いてきたので,検証してみることにする。
00年代〜ポスト・パンク・リバイバル世代
この世代では,世界中にギター・ロック復権を印象付けたストロークス,ホワイトストライプス以降,雨後の筍のように多くのガレージ・ロック・バンドが登場してきた。
その一つがこのドラムス。
浮遊感のあるそのサウンドは,一度聴いたら癖になる。
演奏は決して上手くなかったが,どこか朴訥としていて親しみがもてた。
そんな彼らのファッションは,古着を取り入れてカジュアルな印象だ。
ニューヨーク・ジェッツのフットボールTシャツや,チェックのシャツは当時日本でも流行っていた。
ただ色合いが少しポップ過ぎて,現在のトレンドとは少し距離感があるか。
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続いては,この時代のムーブメントをつくり上げた張本人である,ザ・ストロークス。
私は,「ストロークスはお洒落」なもんだと言う先入観がずっとあって,それは今でも変わらないのだけど,この03年当時のファッションはいただけない。
ニック(左端)のざっくり中割れニットはまだいいとして,ジュリアン(左から2人目)は・・・。
シャツのボタンを上から3つ,4つ?くらいは外しているようだ。胸元が露わになっている。
露わ過ぎるだろう。
当時はタイトめファッションの全盛であったことを差し引いてもやり過ぎ感は否めない。
そして,現在のトレンドとの遠い距離感を感じてしまう。
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90年代〜ブリット・ポップ世代
この世代でまず登場するのは,ブリット・ポップ代表選手のオアシスだ。
先のストロークスを見た後で,どこかほっとしてしまったのは私だけだろうか。
ノエル(右から2人目)やボーンヘッド(左から2人目)が若干オッサン臭いのが気にはなる(全員30前!)が,全体的なサイズ感はゆったりしていて,現在のトレンドと比べてもあまり違和感はない。
それにしても改めて見ると,当時のオアシスメンバーって,若い割に皆貫禄があって,リアム以外ミュージシャンというより,プロデューサー然としていませんか。
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最後に登場は,1989年のストーン・ローゼズ。
厳密に言えば90年代ではないしブリット・ポップ世代でもないけど,その世代のアーティストに与えた影響は多大なので,よしとしましょう。
そんな彼らのファッションだが,不思議なほど現在のトレンドとの距離感を感じさせない。
マニ(右端)のフットボール審判風のTシャツや,イアン(左から2人目)のポロシャツ,ちょうど肘くらいまでの丈があり,ゆったりとしたサイジングだ。
奥のジョン・スクワイアも,上下ともゆったりしたスタイルだ。
ジョンに関しては,そのまま今月号の「メンズ・ファッジ」に載っていても多分違和感はない。
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最後に,本当に今月の「メンズ・ファッジ」で検証してみよう。
この写真は,ブリット・ポップっぽく着こなそう的な企画ページのもの。
明らかにイアン・ブラウン風の髪型を意識しているモデルが小脇に抱えているのは,ブラーの名盤「パークライフ」!
こうしてみると,依然オーバーサイジングのトレンドは続いているようだが,シルエットに関してはもう五年以上大きな変化がないので,そろそろタイトめのブームがきてもおかしくはないのかも。
検証結果は,今のところ,90年代のほうがイケてるように見える。
しかし,トレンドは繰り返すもの。あと三年もすれば,ファッションに関する状況も様変わりしているかも知れない。
「やっぱり03年のストロークス最高にかっけえじゃん!」
なんてブログに書いているのかも知れない。
それでも,胸元露わにし過ぎるのは,やっぱりちょっとアレですけどね。