80年代デヴィッド・ボウイのファッションと現在のトレンドとの共通点を探る
ラルフローレンの公式LINEから,新着メールが届いていた。
そろそろ秋物の提案が始まっているようだ。
ラルフローレンと言えば,ドレスシャツ,カジュアルシャツもラインナップは豊富。
ラルフローレンのストライプシャツって,他のブランドにはない遊び心と色気があると思うのは私だけだろうか。
上の写真でモデルが着用しているシャツも,トレンド色でもあるグリーンのざっくりしたストライプに,ピンクの胸刺繍がほどよいアクセントに。
ネイビーの小紋柄タイで バランスを取り,なおかつスラックスが白でしっかり抜け感を演出している。
こちらはジャケット着用例。
やはりトレンド色のグリーンのストライプのシャツ。
こちらは幅が狭目でよりフォーマルな印象に。
ネイビータイに,ジャケットカラーも合わせている。
ジャケットの金ボタンがアクセント。
ベルトと腕時計の色もブラウンで統一しているのも憎いところ。
ブランドイメージも影響しているとは思うが,ひと頃と比べると,多彩な色使いがより顕著になってきているようだ。
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ラルフローレンの新作ラインナップを見ながら,こうした多彩なシャツスタイルが得意なアーティストは誰か,思い起こしていたが,あまりいない。
最終的に脳裏に浮かんできたのはこの人だった。
そう。
デヴィッド・ボウイである。
デヴィッド・ボウイは,その生涯に渡ってさまざまな音楽性,ファッションスタイルを変化させてきた。
長い彼のキャリアの中でも,今回は80年代初頭,アルバム「レッツ・ダンス」をヒットさせた頃のファッションを検証する。
70年代に,いわゆるベルリン三部作を完結させ,その芸術性の高さを音楽ファンに広く認知されるようになったボウイ。
アルバム「レッツ・ダンス」ではそんなボウイが極めてポップに接近した作品だ。
そこで,こちらの写真。
金髪にイエローのジャケットが眩しい。
タイは,ネイビーの小さなドット柄。
それまでは宇宙人(ジギー・スターダスト)であったり,山本寛斎らと斬新なファッションで聴衆を驚かせたり,わりとコンセプチュアルかつミステリアスなスタイルのイメージがあったボウイ。
80年代に入り,MTVが始まってロックの大衆化が進んでいた時代。
ボウイも新作においてはポップさを前面に押し出しているのも影響しているのか,ファッションにおける色使いも非常にカラフルだ。
派手ではあるが,白シャツや控えめなドットのネイビータイなどできちんとバランスを取っている。
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こちらの写真も,髪型等から,おそらく同時代のものであると推察される。
ブルーのクレリックシャツに,サスペンダー・スタイル。
サスペンダーのベルト,スラックスも白で爽やかな印象。
金髪+ブルーのシャツ+白のボトムスという色の組み合わせは絶妙だ。
シャツやボトムスのシルエットはゆったり目で,現在のトレンドという視点で見ると,非常にモダンな印象だ。
デヴィッド・ボウイは派手な衣装を身に纏っているイメージが強いが,ここまでのファッションの傾向を見ていくと,色使いは非常に繊細で,よく考えられているなという感じ。
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最後に,晩年に撮られた一枚を。
これは,彼の遺作「★」のために撮られたスナップ。
「★」自体のコンセプトカラーが白黒だったことも関係しているのだろう。
この時のボウイは白のシャツ,白のジャケットに黒のボトムスというスタイル。
襟の★が目を惹く。
モノトーンスタイルだが,やはり色の使い方が巧みである。
そして,晩年の写真とは思えないスタイリッシュさは,さすがというほかない。
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デヴィッド・ボウイの80年代ファッションを中心に,現在のトレンドとの共通点を探ってきた。
かなり個性的な着こなしではあるけど,色使いなどからは学ぶべきところが多い。
最後に,今回検証した80年代のアルバム「レッツ・ダンス」の1曲目を飾る「モダン・ラブ」。
極めて80年代的なMVになっているが,アップテンポな曲で踊るボウイも悪くないな,と思わされる名曲です。