メタファイブのラストアルバムはロックの未来を映すのか
メタファイブ,ラストアルバムリリース。
例のごとく,カーラジオを聴きながら帰宅していると,突然ナビゲーターがそう言い放ち,続いて曲紹介に入った。
新曲,「Wife」。
イントロから,もう「おおっ!」と身を乗り出してしまう,2022年にYMOが復活したかのような,あの独特のピコピコ感。
それでも決してノスタルジックに陥ることなく,清新なモダンさを兼ね備えているように感じてしまうのは,どういうことだろう。
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「ゾクゾクする感じ」だろうか。
彼らの奏でる音楽を形容すると,陳腐だけどそんな表現に行き着く。
何しろメンバーが物凄い。
高橋幸宏(もとYMO),小山田圭吾(コーネリアス),テイ・トウワあたりのいちミュージシャンとしての知名度は抜群で,いちいち説明するまでもないだろう。
砂原良徳は1999年まであの電気グルーヴのメンバーであった。
その後,プロデューサーとしても活動し,メタファイブの各メンバーのソロ作品は勿論だが,ピチカートファイヴやリップスライムらの作品にも関わっている。
ゴンドウトモヒコはサポートミュージシャンとして,YMOやラブ・サイケデリコ,くるりなどとツアーを回っていたようだが,子育て世代の私としては,Eテレ「ムジカピッコリーノ」の音楽監督としての側面の方が身近に感じる。
LEO今井はメンバー中最年少の41歳。
日本人の父,スウェーデン人の母をもつハーフで,シンガーソングライターとして活動している。
メタファイブでは高橋とともにリードボーカルを担当している。
こんな物凄い6人が集まってきて,バンドをしているのだ。
そりゃ「ゾクゾク」するだろう。
私が特に愛聴しているのはミニアルバムの「メタハーフ」だが,全く予定調和ではない化学反応というか,緊張感がびりびり伝わってくる。
それぞれでキャリアを築いたメンバーが集まって形成する「スペシャルバンド」的な立ち位置なのだろうか。そういえば2020に活動を終了した第二期KIRIBJIも,そんな編成だった。
2014年から始まったメタファイブは,これがラストアルバムとなる。
短い期間だったが,日本ロック史に確かな爪痕を残した彼らのラストはしっかりと見届けたい。
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私が彼らの作品の中で,今のところ一番好んで聴いているのが「メタハーフ」収録の「Submarine」。
今井の力強いボーカルと,流麗なシンセサイザー,ギターのビートの抜け感がたまらない名曲です。
ラストアルバムだけど,未来しか見ていない。
新曲「Wife」のMVを観ていたら,そんなことを感じた。
ラストアルバム「METAATEM」の一般発売は,9月。
楽しみです。