小粋なアーティストはフェスでも魅せる
今年,緊急事態宣言下で開催され賛否を呼んだフジロックフェスティバル。
自分自身も8回ほど参戦した経験があって,ここ数年は行けていないけれども,あの苗場という場所に戻ることを心の拠り所にしているところもあるので,また来年以降できるだけ通常に近い形で開催されることを切に願っています。
今回は2012年のフジロックに出演していたアーティストの衣装を見ていきます。
2012年のフジロックと言えば,再結成後初の来日となったストーン・ローゼズ,オアシス解散後久しぶりに苗場に戻ってきたノエル・ギャラガーとハイ・フライングバーズ,そして泣く子も黙るレディオ・ヘッドがヘッドライナーを張った年だった。
個人的には,ローゼズの1st「The Stone Roses」は生涯の愛聴盤ということもあって,イアン・ブラウンを,ジョン・スクワイアを,マニ,レニの4人が揃った姿をこの目で見ることができるのは奇跡のようだった(しかし,実際には彼らが1990年前後に見せていた輝きこそが本当の奇跡だったのだと終演後に気付くことになる)。
最初に登場するのは,ジャック・ホワイト!
ジャック・ホワイトは当時,男性ばかりで編成されたバンドと,女性ばかりで編成されたバンドを二つ率いていて,日替わりでステージに立たせていたそう。この日は「女性バンド」の日だった。
コーラスの女性シンガーとおそろいの青いスーツ姿。
ジャック・ホワイトには常にコンセプト・カラーが存在する。
ホワイト・ストライプス時代には「赤・黒・白」。
だから,衣装だけでなくCDのジャケット写真や関連グッズも,全て「赤・黒・白」でデザインされた。
ソロになってからは「青・黒」がコンセプトカラーとなった。だからこの日の彼の衣装も,青のスーツに黒のシャツなのだろう。
ジャックのようにコンセプトを決めて自己プロデュースしているアーティストって,他にもいそうで実は意外と少ない。
デヴィッド・ボウイは独特の世界観を衣装やメイクで表現しているが,時期によって変化している。
ジャック・ホワイトの場合は一つコンセプトを決めたら一貫してそれを守り続けるところが他のアーティストと違うところだ。不便な面もあるだろうが,そこに一本筋が通った格好良さを感じてしまう。
あと,ソロになってからの曲も結構好き。小細工なしにストレートに,ガンガン迫ってくる。
二人目はレジェンド,コステロの登場です。
見よ!ハット,眼鏡,ジャケット,ネクタイ,そして・・・エレキギター。
どこから見てもエルビス・コステロだ!
どんなに暑い日でもネクタイ外さない,ジャケット脱がない。
英国紳士の粋,ここに極まる。
日本人のおじさんも負けていません。
井上陽水です。
ゆったり目の黒Tシャツ,黒スラックスと,リラックスモード。いい感じで力が抜けている。
まあ,井上陽水が力んだ感じだったらちょっと怖いけど。
相変わらずMCは謎に満ちていたが,この日のグリーンステージに集まった聴衆の数はすごかった。
昼間のグリーンではちょっと考えられないくらいの人,人,人。
「リバーサイド・ホテル」を大合唱しているときには雨が落ちてきたけど,みんな大満足なのでした。
いずれまた,感染症とか気にせずにみんなで好きに歌ったり跳ねたりして楽しめるようなフジロックが戻ってきてくれることを願って・・・今回はおしまい。