音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

「桜井和寿と吉田美和はなぜ偉いのか」論

正直に申し上げると,私はMr.Childrenの熱狂的なファンではないし,吉田美和の信奉者でもない。

 

しかし,彼ら彼女らが絶大な影響力を誇っていた90年代に思春期を過ごした世代として言わせてもらうと,ミスチルやドリカムの楽曲は好きであろうとなかろうと,NHKみんなのうた」的な感覚で日常にありふれた存在だった。

 

カラオケに行けば誰かが必ずミスチルGLAYの曲を歌ったし,こちらが制止するのも聞かずにB'zをチョイスし,憤死していく猛者だっていた。

 

だから,私は熱狂的なファンでないのにも関わらず,90年代ミスチルディスコグラフィーはほとんど把握しているし,90年代の曲ならアルバム収録曲も含めて突然カラオケで無茶振りされても,ある程度は歌える自信はある。

 

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そんな,90年代音楽の教科書的な存在の、Mr.Children桜井和寿DREAMS COME TRUE吉田美和はなぜ偉いのかについて,妻との間で激論を交わしたことがある。

 

ちなみにうちの妻は,大のドリカム好き。

数年前には内緒でチケットを取り,子ども達を私に預けると,4年に一度のドリカムワンダーランドに出かけて行った。

吉田美和のことを図々しくも「美和ちゃん」と呼び,それなりに熱心なファンのようだ。

 

そんな妻が話す吉田美和の偉大さ。

それは,「切なさ」とか「喜び」とか,恋愛にまつわる感情をそのまま歌詞にするのではなく,別の行動なり言葉なりに置き換えるあたりの,センス。

それが逆に曲のリアリティを増しているというのだ。

 

「例えば」

と妻は一呼吸おき,「未来予想図II」を例にとって説明を始めた。

 

言わずと知れた名曲である。

この名曲に次のような歌詞がある。

 

私をおろした後

角を曲がるまで 見送ると

いつもブレーキランプ 5回点滅

ア・イ・シ・テ・ル のサイン

 

何ですか?

神様ですか?

ロマンスの神様でしょうか?

 

何でこんな歌詞が書けるんだろう。

情景が浮かびますよね。

何気ない言葉のやりとりとか,合図とかって,共感を呼びやすいのだろう。

 

こんな歌詞が書ける吉田美和さんは,やはり偉いのです。

 

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次は私。

いきなりでなんだが,私のNo.1失恋ソングはミスチルの「Over」。

これは多分,ずっと変わらない。

 

青臭い思春期に聴き続けた曲はエバーグリーンだ。

 

当時は,

「なんで?なんで桜井さんは俺の気持ちがわかるんだろう?」

と本気で考えていた。 

 

バカでした。 

 

男なんて皆バカです。

 

そして,この「Over」の歌詞がめちゃくちゃ女々しいのだ。

 

「風邪が感染ると いけないから 

キスはしないでおこう」て言ってた

考えてみると,あの頃から君の態度は違ってた

 

…女々しい。

女々しさの極地です。

でも,この女々しさこそが桜井和寿の真骨頂なのだと思う。

 

格好悪くて,情けない自分を隠そうとしない。

「好きだった」

とかわざわざ言わなくても,彼女の仕草を思い出す回想や描写で,痛いほど伝わる。

 

そして,

「格好悪くも情けなくてもいいんだ。」

と思える。

 

だって,桜井和寿が全てを肯定してくれるのだから。

 

この歌詞のよさが妻には全く分からないらしい。

 

共感しかないんだけど。

  

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いずれにせよ,Mr.ChildrenDREAMS COME TRUEはじめ,B'z,JUDY AND MARYなどなど,素晴らしいバンド,音楽ユニットに触れることができた,そういう意味ではそれなりに充実した思春期だったと言えるかも知れない。

 

「熱狂的なファンではない」とはじめに断っておきながら,わりと熱く語ってしまい,

「実は結構好きなんじゃない?」

とか聞かれそうですね。

 

 もう言います。

 

はい。結構好きです。

 

一番好きなミスチル曲?

ロードムービー」です。

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それでは,よい週末を!