音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

それは今も続いてる

まだまだ寒い日が続いている。

 

私は現在地下鉄で職場まで通っているが,職場が交通の便の悪い場所にあり,電車を降りた後も10分以上歩かなくてはならない。

 

その日もコートのポケットに手を突っ込み,寒さに身を縮めながら職場まであと数十メートルという地点で信号待ちをしていた。

 

この,「信号待ち」というシチュエーションというのは,何か心にカチっとはまることが起きやすいような気がする。

 

シャッフルにしていたiPhoneの曲が切り替わり,流れ出したのがスピッツの「1987→」だった。

 

この曲はスピッツの結成30周年を記念して書き下ろされた曲で,同じく結成30周年時にリリースされたベスト盤の最後に収録されている。

 

なんかありそうな気がしてさ 浮かれた祭りの外へ

ギリヤバめのハコ探して カッコつけて歩いた

らしくない自分になりたい 不思議な歌を作りたい

似たような犬が狼ぶって 鳴らし始めた歌

 

それは今も続いてる 泥にまみれても

美しすぎる君の ハートを汚してる

 

ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのまんまだろう

無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道

 

それは今も続いてる ヒザをすりむいても

醒めたがらない僕の 妄想が尽きるまで

 

それは今も続いてる 泥にまみれても

美しすぎる君の ハートを汚してる

Yeah…

 

スピッツ「1987→」

 

なんか,この歌詞にぐっときた。

この曲を聴いたのは勿論初めてではない。

2017年にこのアルバムを購入してから何度も耳にしてきた。

 

しかし,なぜか今の私には胸の奥までぐっと迫るものがあった。

 

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この曲は,表現者となった草野マサムネが,どのようにして曲を作り始めたのか,なぜ今まで続けてこられたのかという心境を率直に描き出している。

 

「らしくない自分になりたい 不思議な歌を作りたい」

 

今,この歌詞に共感を覚えるのは,自分自身もブログを通して,表現者という一側面をもって生きるようになったからだと思う。

勿論,メジャーでバリバリいわせてる一流アーティストを前にして比べるべくもないが,「らしくない自分になりたい」という心境は何となくわかる。

 

何事にも建前がある。

仕事や家庭の中だけでは表現しきれないものもある。

自分が考えたことや感じたことを発信する場があるということは,ある意味「らしくない自分」像を欲しているということなのではないかと思う。

 

 

「ヒーローを引き立てる役さ きっとザコキャラのまんまだろう」

「無慈悲な鏡叩き割って そこに見つけた道」

 

これは完全に謙遜だと思うが,王道から外れている,という意味ではその通りかもしれないとも感じる。

 

スピッツの音楽には他にないものがある。

 

王道(流行り)から外れることは勇気がいるが,自分たちだけの道を見つけて走ってきたという自負が,この歌詞には表れているようだ。

 

 

「それは今も続いてる 泥にまみれても」

 

これが,草野マサムネが一番言いたかったことなのかもしれない。

 

泥にまみれても,ヒザをすりむいても,今も続けていること。

 

私自身も,90年代半ばに大ヒットした「空も飛べるはず」「チェリー」しか知らなかったら,ここまでスピッツのことを聴き続けなかったと思う。

 

中学生の頃に聴いていた「運命の人」。

高校生の頃に聴いていた「放浪カモメはどこまでも」。

社会人になって聴いた「魔法のコトバ」。

 

彼らがここまで音楽活動を続けてきたからこそ,私の人生の各ページの風景に,その音楽が確かに記憶とともに刻まれている。

 

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ここ最近,よく読みに行っているブロガーさんたちがブログを続けることについて葛藤を抱いているという記事を目にするようになった。

 

私自身も,一度は連続更新が負担となり,ブログ閉鎖という挫折を経験した男だ。

 

多くの人が自分の仕事や家庭を抱える中でブログ更新を行っているだろう。

 

私だって,目の前にいる家族や,社会的責任を負っている仕事のほうが重要であることは重々承知しているし,あくまでブログは趣味でしかないと思っている。

だからこそ,今ではブログの更新頻度も仕事や育児に支障のない程度に留めるようにしている。

 

ただ,自己表現の場としてもさることながら,他のブロガーさんとの交流もブログを続ける上での大きなモチベーションになっているのは間違いない。

 

交流のあるブロガーさんの書いてある記事に感銘を受けることも少なくない。

もう一度ブログ開設をする勇気をもらったことだってある。

 

二度目のブログを昨年9月に立ち上げて,もうすぐ半年。

多くの読者の方のコメントや読みに行っているブロガーさんの記事に勇気をもらったり刺激を受けたりしながら,続けてくることができた。

 

私自身も,いずれブログを継続していくべきかの岐路に立たされる日がくることもあるだろう。

 

でも,もう少し続けていこうと思う。

 

変なことを書くこともあるが,無理のない程度に続けていくことは,きっと何かしらのものを自分に与えてくれるのではないかと思うので。

 


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それは今も続いてる 泥にまみれても

美しすぎる君の ハートを汚してる