音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

憧れの2トーン・スカ

最近,チャック・ベリーが亡くなった。

 

言わずと知れたロック開祖の一人であり,ビートルズローリングストーンズらに多大な影響を与えたギタリストだ。

 

ストーンズキース・リチャーズなんかも,少年時代からチャック・ベリーやリトル・リチャードらに憧れてギターを始めたことをインタビューで話していた。

 

私は,何事も好きになったりはまったりするものができると,無性に掘り下げてみたくなる性分だ。

 

オアシスやブラーなどのUKロックにはまった時には,そのルーツとしてリアムやノエルらが語っていた,ビートルズストーンズザ・フーまで遡って聴いていった。

 

ビートルズストーンズの世界にどっぷり浸かってしまうと,次は彼らが「影響を受けた」と話すチャック・ベリーについても,CDを購入して聴き込んだり。

 

まあ,そんな感じだ。

 

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ところで,学生時代にスカにはまっていたことは以前記事にしたことがある。

 

Kemuriやスネイルランプが流行っていたので,友人の家に集まってライブDVDなんかをよく観ていた。

いわゆる「スカコア」というジャンルだ。

 

sisoa.hatenablog.com

 

上の記事で触れている「モンキーマン」は,スペシャルズが歌っていた曲だ。

 

ザ・スペシャルズは1970年代後半から活動しているスカ・パンクの草分け的なバンドで,オリジナルアルバムは二枚しか残していないが,彼らの奏でるスタイリッシュかつリズミカルな音楽は広く受け入れられ,日本のバンドにも多大な影響を及ぼしている。

 

当然,Kemuriなどもスペシャルズの影響を受けているわけだ。

 

The Specials

The Specials

Amazon

黒人と白人の混成バンドで,レーベルの名前が「2トーン」。

アルバムも2トーンのモノクロで統一し,勿論着こなしも2トーン。

 

ジャケットに写ったメンバーの格好良さには惚れ惚れした。

 

全員がビシッとスーツで決めている。

所謂モッズ・ファッション。

 

「モンキーマン」はとてもキャッチーな曲だったけど,「リトル・ビッチ」も,高校の体育祭で応援団チアが踊っていた曲だったのでよく覚えていた。

確かに,アップテンポでキャッチーで,乗りやすい曲だ。

 

それにしても,あんな渋い選曲,誰がしたのだろう。

 

70〜80年代のスカパンクバンドの曲なんて,女子高生がチョイスしそうなジャンルではない。

 

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私の世代は高校時代にハイ・スタンダードの「メイキング・オブ・ザ・ロード」がインディーズなのにバカ売れしたりMONGOL800がブレイクしたりして,男子の中には結構な割合でメロコア好きが存在していた。

 

その中の特に音楽好きが海外のパンク(グリーンデイやランシドオフスプリング)を聴くようになるのだ。

 

私もその例に漏れない楽器ができない音楽好きだったわけで,勿論グリーンデイもオフスプリングもそれなりに聴いていたのだけど,パンクの中にスカのリズムのよさを見出して,スペシャルズやマッドネスら,ルーツに向かっていった…という感じだ。

 

パンクというのは,音楽ジャンルの中ではわりと中庸なところに位置付いていて,そこから派生してメタルにいく者がいたり,私みたいにスカのほうに向く者もいたりするわけだ。

 

私が大学時代に仲良くしていた友人はメタル好きだった。

メタリカメガデスの曲をこよなく愛し,昼夜問わずアンプ付きのベースをボンボンとかき鳴らす,はた迷惑な男だったが,気のいい奴で終電がなくなって宿がない私をよく泊めてくれていた。

 

その友人はメタルと同じくらいパンクが好きで,特にランシドに対しては,来日ツアーがあろうものなら日本全国どこへでも足を運ぶという熱の入れようだった。

 

一方で私のほうは,パンクは好きなのだがメタルには興味がいかず,スカに傾倒した。

 

パンクにはスカの要素もあって,かの伝説的パンクバンド,クラッシュもかなりスカ寄りのアルバムを活動後期にはリリースしている(「サンディニスタ!」1980年)。

THE SPECIALS(Fujirock2012)

スペシャルズの鳴らすビートはパンキッシュなのに,どこか渇いていて,とてもクールだった。

 

「ラット・レース」という曲は特によく聴いた。

 

「ラット・レース」・・・いたちごっこ

 

大学に通う友人を

「いたちごっこをやってるようなものだ。そんなのは時間の浪費だ。生存競争に汗を流せよ。」

と皮肉る歌詞。

 

こんな歌詞の曲に,時間を浪費しまくっていた大学生の私がのめり込んでしまったのだから本当に皮肉である。

 

まあでも,振り返ってみれば,いわゆる流行りの音楽から少し離れて,周りの人間があまり聴かないようなジャンルであったり,アーティストであったりを掘り下げていく最初のきっかけは,このスペシャルズあたりでないかなと思う。

 

そこには当然,私のように初心者でもとっつき易い「ポップさ」が内包されているわけで,多くの人に聴く機会さえ与えられば,きっと好きになってもらえるのではないか・・・と考えてみたり。

 

ということで,ザ・スペシャルズの代表曲「ラット・レース」を紹介します。

 

台風が接近している地域が多いかと思います。

雨の週末になりましたが,曇り空がよく合う,ちょっと深みのあるビートです。

 


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