車がない。
私は現在,職場に電車+自転車で通勤している。
もともとは自家用車通勤をしていたが,今から5年前に赴任した職場が基本的に公共の交通機関以外での通勤が認められない場所だったので,そのタイミングで電車通勤に切り替えた。
その後に異動した先は自宅から1時間ほどかかる場所にあり,途中渋滞にかかりやすかったり,電車と自転車で通勤したほうが早く到着したりという事情もあり,電車通勤を続けていた。
そういう事情で,数年前にもともと私用と妻用で2台あった車はどちらも下取りに出し,少し大きめのファミリーカー1台に妻と共用で乗っていた。
電車通勤は,はじめはよかった。
読書はできるし,仕事の段取りやアイデアなどを練ることもできた。
しかし,それも飽いた。
さらに,2年前からはコロナ禍となり,咳をするにも周囲を気にしなくてはならない煩しさも重なり,ほとほと長時間の電車通勤に嫌気がさした。
加えて,下二人の保育園の送り迎えをいつまでも妻に任せておくわけにはいかなかった。妻だって働く身だ。
私の仕事は三年勤めれば,別の場所への異動希望が出せる。
前の職場で3年目となった昨年から,次の年の異動を見据えて,世話になっていたトヨタのディーラーに相談し,新車の契約を済ませた。
昨年10月のことだ。
その時から担当者には
「コロナで工場がストップしているので,納車は来年2月以降になりますが,3月までには届くと思うので,新年度には間に合いますよ。」
と言われていた。
ところが待てど暮らせど新車はこず,
「申し訳ありません。4月には間に合いません。納車は5月になります。」
と担当者から申し訳なさそうな電話がきたのが3月。
納車が遅れているのは業界全体の問題なので,彼に全く非はない。
「仕方ないですよね。」
と相槌を打つしかなかった。
そして,5月になった。
1ヶ月ごとに更新している電車の定期を購入するかどうかを判断しなければならないので,担当者に電話を入れた。
「正直,5月中も厳しいと思います。でも,もうすぐくることは確かです。」
担当者は苦しい返答。
やれやれ。
5月の定期も買うことになりそうだ。
私の電車通勤はいつまで続くのだろうか。
車がない。
関係ないけど,「時間がない」をかけてみる。
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通勤のこともあるが,早く自分の車が欲しい。
勿論不便なのもあるが,自分の車の中というのは基本的に一人の空間なので,一人でいる時間を確保したいという気持ちが強くなっているのだと思う。
家族がいれば家の中では勿論一人の時間はない。
通勤は電車なので朝夕ともに満員だ。
職場では当然人と顔を合わせる。
通勤時だけでも,ラジオや好きな音楽を聴いて自分の時間一人の時間を過ごしたい。
振り返れば「マイ・カー」というプライベート空間では,これまでも様々な(仕様もない)ドラマが生まれてきた。
最初の愛車はスズキジムニーの「ワイルド・ウインド」。
この車は90年代後半のモデルなので,私が購入した時点で15年落ちくらいだった。
上司が 見つけてきてくれたもので,フロントグリルがついてながら28万円という超格安の代物だ。
憧れのマニュアル仕様。
しかしこのジムニー,相当にボロかった。
カーステはもともとカセットテープ仕様だったのを,中古車屋の主人の好意でCDに換えてもらったのだが,それくらい古かった。
クーラーは一応ついているが,夏は温風しか出ず窓を全開にするしかない。
その窓も,ギリギリ電動開閉式だったが,こいつも機嫌が悪い時には全く駆動せず,ドア下の配線を手探りでいじらないと開け閉めできないこともしょっちゅうだった。
夏に窓が開けられないという事態に陥れば,車の中にいながら熱中症どころが死の危険性すら伴う。
さらに長時間走り続ければ,よくオーバーヒートを起こした。
夜通し走って九州を縦断し,帰ってきたその夜にはボンネットから黒煙が上がった。
一応4人乗りだけど,2人以上乗せようと思うと,荷台をつぶして後部座席をつくらなければならず,それも結構面倒だった。
まあそれでも,かわいい車だった。
手がかかる奴ほど愛着が湧くのは人間も一緒だが。
メンテナンスも,自分で道具を買ってきてよくいじっていた。
しかしかわいいジムニーとの日々も数度目かのオーバーヒートにより終焉を迎えることとなった。
暗闇の中,レッカー車に運ばれていくのを見送ったのが,奴を見た最後の姿となった。
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次に愛車となったのは,やはり中古で買ったホンダのインサイト。
初代に比べると,全く手がかからなかった 二代目。
クーラーは効くし窓は開くし(当たり前)。
ちょっと地味だし,白だったので社用車っぽい印象を与えたことは否めなかったが,乗りやすい車だった。
現在妻と共用で使っているトヨタシエンタはアクセルペダルが私には合わず,長時間運転していると右脚がつりそうになるのだが,インサイトは全くそんなことはなかった。
今から思うと,はやって手放さなければよかった。
まだ10万キロも走ってなかったし,十分いい車だった。
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昨秋,投函されていたトヨタのカタログを見て一目ぼれ。
はやくこないかな。
待つ時間も楽しみの一つではあるのだけれど,いささか待ち過ぎました。