音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

トレンドは本当に繰り返すのか?

「メンズファッジ」の最新刊を買った。

季節的には,もはや春から夏へ…というタイミングなので,全体的に明るいトーンの装いの提案が多かったように思う。

 

 

ところで,ページを捲っていると,我々アラフォー世代にはNGとされていたような着こなしというか,組み合わせも今では普通にお洒落な装いとして浸透しているところに,つくづくトレンドの変遷というものを感じてしまう。

 

1 ニット肩掛けスタイル

例えば,下のようにニットを肩掛けするスタイル。

このスタイルはかつて「プロデューサー巻き」と呼ばれ,ダサいファッションの象徴だった。

 

「ダサい」と言い切ると少し違うか。

お洒落と勘違いしている人を揶揄する時に,よく用いられた装い例だったのではないだろうか。

昔のコントなどで,プロデューサー巻きをした嫌味な上司が登場していた。

なんか,そういう扱いでしたね。うまく言えないけど。

そんなプロデューサー巻きも,この通りすっかりスタイリッシュに,トレンドとして定着した。

というか,完全に市民権を得た感すらある。

 

そういえば,数年前に出たMB氏の本でも,「ニット肩掛け」は推奨されていたな。

 

 

2 ポロシャツタックインスタイル

もう一つが,「ポロシャツをタックイン」というスタイル。

これも15年前には完全にアウトでしたね。

というか,イン自体が「ダサい服装」を象徴していた時代でもあった。

私は当時の流行というか雰囲気をいまだに引きずっているので,今でもインするのは抵抗がある。

 

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3 検証:40年前の「ニット肩掛け」「タックイン」との比較

ここまでは現代におけるトレンドの変遷について述べたが,上記のような「ニット肩掛け」や「ポロシャツイン」は,15年前よりさらに以前,約40年前にはやはり当時のトレンドとして,しっかり「お洒落」な装いだった。

 

今から40年前というと1980年代になるが,この時代のファッションアイコンの装いがこの通りだ。

見ての通り,スタイル・カウンシルの二人。

 

左のポール・ウェラーは黒のポロシャツに,白のニットを肩掛け。

 

右のミック・タルボットは,青のポロシャツをチェックのスラックスにイン。

 

現在のトレンドと,80年代の二人の装いは,組み合わせこそ同じだが,あまり似通っているようには見えない。

 

一番はシルエットの違いだろう。

現在のトレンドでは,ゆったりシルエットの服が好まれているので,ニット肩掛けの場合もポロシャツインの場合も,モデル着用のサイズは少し大きめにしてバランスを取っている。

 

一方80年代のウェラーとタルボットは,どちらもタイトなポロシャツを着ている。

このあたり,「トレンドは繰り返す」という定説はありつつも,やはり少しずつアレンジを加えたり,逆に引いたりして変化し続けているということだろう。

 

つまり,「いつかはまた流行るはず」と思って箪笥の肥やしになっているアイテムも,トレンドが巡り巡ったとしても,シルエットなどが微妙にダサかったりするのでしょうね。

 

私のクローゼットにも,

「いつかまた着れる日がくるはず」

と信じて肥やしにしているピーコートがあるが,多分これも一生着ないだろうな。

高かったんだけど。

そもそも40過ぎてピーコートは着れないかなあ。

 

「10年前のブランド服よりも最新のユニクロを」

とはMB氏の論です。

 

分かりますよ。

分かるけど,諦めきれない自分もいる。

 

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余談にはなるが,80年代の「ロッキング・オン」の表紙を見ていくと,この時期のポール・ウェラーとポリスのスティングの格好よさは無双状態と言ってよい。

これですよ。

いい男に,トレンドは関係ないですね。

本当に。

 

いや,今でもウェラーとスティングはいけているが,自分を磨き続けていたり,年齢を重ねた自分のよさを引き出す努力を続けた人が,結局は格好いいんだよなと思う。

 

特に年齢を重ねていくこれからは,ただトレンドに流されるだけというのは逆にダサい。

だからと言って,トレンドを完全に無視するのも多分ダサい。

適度に取り入れつつ,自分のスタイルを模索していくべきなのでしょうね。

 

目標にするのもおこがましいが,憧れるのは勝手だろう。

目指すぞ,ポール・ウェラー


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