アルバムジャケットで検証するWEEZERのファッションと流行の変遷
ザ・ビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」のジャケ写は,ご覧のようにビルの一角から階下を見下ろした4人の笑顔。
数年後,30歳前後となったメンバーは同じ場所で同じように撮影を行い,この写真はベスト盤(通称「青盤」)にも使われた。
それにしても,10年も経っていないのにこの変わりようはどうか。
特にジョン(右端)に関しては同一人物とはとても思えない・・・。
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このビートルズのように,経年変化?をジャケットで見せてくれるアーティストは他にもいて,その代表格がWEEZER(ウィーザー)だ。
現在では普通に使われるようになった「エモい」という表現だが,彼らのロックはまさに「エモさ」満点。
「泣き虫ロック」として日本でも長く愛されてきた。
デビューアルバム(94年)はセルフタイトルの「WEEZER」。
ブルーバックのジャケ写のため「ブルー・アルバム」としてファンの間では愛されている。
ブルーの背景に佇む4人の若者。
なんだか冴えない印象だが,彼らのルーツは意外にもメタル。
様々な音楽やファッションを消化したうえでの,没個性ルックということらしい。
左から2人目がボーカルのリヴァース・クオモ。
オーバーサイズの紺Tシャツにチノパン。
いかにも好青年な感じだけど,パワフルかつエモーショナルなボーカルでWEEZER,そしてロックシーンを長年牽引してきた。
右端がギターのブライアン。
彼のファッションセンスのよさはデビュー当初からファンの間でも評判だそうで,この時の開襟シャツも,なかなかかわいいデザインだ。
この「ブルー・アルバム」に収録されている「バディー・ホリー」という曲は,必聴のアンセムソングで,今でもWEEZERのライブでは大合唱が起きる。
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続いて3作目(01年)の「WEEZER」。
こちらもセルフタイトルのため,通称「グリーン・アルバム」。
リヴァース(左から2人目)は眼鏡をかけ,黒の上下にシャツの赤い襟と袖をチラ見せ。
よく見ると,足元はダンク(ナイキ)で,こちらも赤を合わせている。
ブライアン(左から2人目)は黒ずくめに,赤シャツの襟部分を控えめに見せている。
ファッションもだけど,メンバーの髪の色(全員茶髪)とか,時代を反映している。
私も2000年代前半に大学生活を送ったが,当時の大学生は80%以上(少なくとも私の周囲では)が茶髪だった。
最近の学生さんを見ると,髪を染めていない人も多いですよね。
ちなみに私は生まれてこのかた一度も染髪(脱色も)したことがありません。
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2008年の「レッド・アルバム」。
3枚目のセルフタイトルアルバム。
リヴァース(右から2人目)もブライアン(左端)も,ハットを被っている!
当時(2010年前後)は確かにハットが流行っていた。
それにしても,二人とも渋みが増している。
ただ,リヴァースに関しては「カウボーイ?保安官?」な印象だけど。。
ブライアンが着ている肘あて付きニットも当時よく流行っていた。
私はこれ,今でも好きです。
このアルバムが出た後,フジロック(09年)ではヘッドライナーとしてグリーンステージに登場したWEEZER。
私もそのステージを見ていた。
映像を観ていただければわかるが,リヴァースは日本語が本当に上手い!
巧みで愛嬌のあるMCでグリーンステージに集まった聴衆のハートを鷲掴みにしていた。
探してみたら,その時のフジロックの動画を発見!
ファッションに関しては正直?なことが多いリヴァースだけど,喋りと歌のうまさはさすが。
それにしても,懐かしい。。
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それから約10年。
WEEZERの新しいアルバムが数枚出たのは知っていたが,とんとご無沙汰だった。
最近はどうしてるかな?と思って調べてみると,しっかり「カラーアルバム」を出していた。
こちらは2019年の「ティール・アルバム」というカバーアルバム。
ブライアン(左端),リヴァース(左から2人目) ともにセットアップジャケット&腕まくりという,色味も含めて爽やかでスタイリッシュな出立ち。
3年前のアルバムだけど,ファッション自体にはそれほど古さは感じない。
いい歳の取り方をしているなあ。
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WEEZERのアルバムから,そのファッションと流行の変遷を追ってきた。
たまに出るセルフタイトルのアルバムでは4人がただ並んで写ることが慣例だけど,いつの写真も服装のコンセプトなど特に決めていない感じで,4人が程よくバラバラなのがとてもいい。
それぞれの服装の好みがよく分かる。
ここ10年は追いかけていなかったけど,アルバムは頻繁にリリースしていたようだ。
久しぶりに聴いた「バディー・ホリー」「トラブルメイカー」が思いの外よかったので,2010年代の作品も聴いてみようと思っている。