「白」が似合う男たち
福岡では先日,博多祇園山笠のフィナーレ,「追い山笠」が三年ぶりに行われた。
早朝,テレビをつけたら山笠の中継をやっていて,「山のぼせ」たちの久しぶりの熱気にしばし見入ってしまった。
「追い山笠」は,その年の一番山笠が朝の5時前に櫛田入りし,奉納するところから始まる。
そのため,市内の地下鉄は観光客のためにこの日ばかりは始発を1時間以上繰り上げて対応している。
民放テレビ各局も4時過ぎから生中継を開始する。
山笠に参加する人は一部かもしれないが,この祭りによって博多の町がにわかに活気づくのは確かだ。
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山笠が終わると,町は一気に「夏本番」という雰囲気になる。
ということで,夏です。
いまさら言わなくても十分暑いのだけど,節目って大事ですよね。
「メンズ・ファッジ」7月号では,白シャツのサマー・トラッドスタイルを提案していた。
夏といえば,爽やかな白!
ここ最近のトレンドとしては,やや色味が派手なスタイルに移行しているようだけど,やはり夏は「白」が映える。
ということで,今回は「白」が似合う男たちを特集します。
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1 サーストン・ムーア(Sonic Youth)
私が初めてフジロックに参戦した2006年。
偶然グリーン・ステージで目にしたのがソニック・ユースだった。
ソニック・ユースは1980年代から活動しているアメリカのバンド。
「オルタナティヴ・ロック」というカテゴリーに分類される彼ら。
同じアメリカ出身のニルヴァーナらと一緒に語られることも多い。
私が観た時には既にベテランの域に達していたソニック・ユース。
私はそれまで彼らの音楽に触れたことがなかったのだが,真っ白なシャツを着て俯きながら激しくギターをかき鳴らすサーストンの立ち姿がとてもクールで,しばらく呆気にとられて眺めていた。
フジロックの後,すぐに彼らのアルバムを買って聴き込んだ。
「Reena」はアルバム「ラザー・リップト」のスタートを飾る一曲で,当時サーストンの妻だったベースのキムが歌っている。
サーストンの跳ねるようなギターと,囁くようなキムのボーカルが瑞々しい輝きを放つ,いつまでも色あせない名曲。
サーストンはいつもシンプルな格好をしていた印象がある。
上の写真も,真っ白なシャツに派手なデザインのギターとストラップが妙に映える。
そっけない恰好なんだけど,男の色気を感じる。
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2 ジェイソン・ムラーズ
私の中では,夏と言えばジェイソン・ムラーズなのだ。
彼の鳴らすサーフ・ミュージックはいつも優しく,懐が深くて,広い海のよう。
この年のフジロックがどうやら初参戦だったようで,当時はまだ髭も生やしておらず爽やかな風貌。
このステージは観てないんだよなあ。
悔やまれる。
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3 吉野寿(Eastern Youth)
たまたま通りかかったホワイト・ステージで,坊主頭に真っ白なシャツを着たおじさんが歌っていた。
それが吉野寿だった。
情感たっぷりに歌い上げる姿につい立ち止まり,最後まで居座ってしまった。
イースタン・ユースというバンドらしい。
しゃくり上げるような吉野のボーカル,高揚感に溢れたバンドの音。
愚直に,真っ当なロックン・ロールを鳴らしている。
真摯なバンドだなと思った。
ラストの「荒野に針路をとれ」では,雲の切れ間から見えた太陽に向かって吠えた吉野。
素直に「いいものを観れた。」と思えた。
フジロックから帰還した後,すぐに彼らのアルバム「365歩のブルース」を買って聴き込んだ。
それでも,私の中でのイースタン・ユースは,あの時たまたま居合わせたあの場所(ホワイト・ステージ)での姿が全てだ。
あの場所,あの空気の中でしか聴くことができない音楽が,確かにそこにはあった。
奇跡のような瞬間だったのだと思う。
ところで,吉野さんの白シャツ,タイトでかわいいのだけど,ギター・ストラップも花柄で映えますね
さっきのサーストンもそうだったけど,白シャツのアーティストは,結構この手のストラップにも拘りをもってチョイスしている感がある。
こんなさりげないお洒落が好きです。
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最後はおまけ。
リアム・ギャラガー
多分後にも先にも見られないであろう,真っ白なタンクトップ姿。
後ろでノエル兄が「オイオイお前大丈夫か?」みたいな表情で煙草をふかしてるのが笑える。
カメラに向けたニヒルな笑顔が茶目っ気たっぷりの,若き日のリアムでした。