音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

英国の正統とヒッピームーヴメント

先日の記事でオアシスのリアム,ノエルのファッションチェックをしたが,20年以上前の服装についてあれこれ批評されるのは本人たちも不本意だろうと感じたので,今回はオアシス解散後のリアム・ギャラガーの装いについて検証していこうと思う。

sisoa.hatenablog.com

 オアシス解散後,リアム・ギャラガーはしばらく音楽活動を休止し,自らのアパレルブランドである「プリティ・グリーン」を立ち上げた。この時,ブランドのプロモーションで来日した際に,雑誌「ロッキンオン」のインタビューに以下のように答えている。

(中略)「朝起きて,ちゃんと服着て,出かける。そういう姿勢がいまのイギリスには欠けてんだよな。服にアタマ使おうとしてんのも少しはいるけどさ。でも日本だとみーんな,主張がある。”何とかルック”って感じでクソすげえよ。やっぱ人ってもんは何かにハマるのが大事だと思うわけ。自分の服で自分の世界を表現するっつうかさあ,自己表現よ。」      『ロッキンオン』2010年5月号

 ファッションについてのリアムの向き合い方がよく伝わってくるのではないか。

ちなみに,このインタビュー時のリアムの装いはこちら。

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髪型といい,なかなかかっこいいポートレート

自分のブランド「プリティ・グリーン」のポロシャツを着ているが,襟周りのラインなど「フレッド・ペリー」を彷彿させるデザインだ。こういうポロシャツは一番上まで留めてこそ様になる。

上のインタビューからも連想されるように,リアムはイギリスの伝統的な装いも大切にしつつ,60年代ヒッピームーヴメントのテイストを取り入れて,オリジナリティを出そうとしているようだ。

「プリティ・グリーン」のロゴデザインがそれを象徴している。


続いては,同じ年の終わり頃始動が報道された,ピーディー・アイのインタビューから(「ロッキン・オン」2011年1月号)。

ビーディー・アイは元オアシスのリアム,ギターのゲム,ベースのアンディ(ビーディー・アイではギターを担当),ドラムのクリス・・・つまりノエル以外のオアシスメンバーで結成されたバンドだ。2010年頃から2014年まで活動し,アルバム2枚を残し,フジロックでも来日を果たした。

インタビューを受けた時のリアムの装いがこちら。

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ハンチングにライダースジャケット,全て黒で統一されたコーディネート。

リアムはこんな形のハンチングをたまに被ってるけど,このようにカジュアルテイストではない帽子もよく似合っているし,黒ばかりの装いにほどよく抜け感を演出している。


ちなみに,メンバーの写真がこちら。

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渋いですね。

個人的にはアンディ(右から二人目)は背が高く,見栄えがする。この日は金ボタンジャケットで英国紳士らしい装いだが,オアシス加入直後のライブで着ていた白シャツ姿もなかなか格好よかった(DVD「ファミリアー・トゥ・ミリオンズ」に収録)。


リアムのお洒落さんっぷりが伝わったでしょうか。

近年ではソロでの音楽活動も軌道に乗ってきたリアム。彼のカリスマ性は唯一無二。「プリティ・グリーン」は経営がうまくいかず,売却してしまったようだが,今後どのような形で我々ファンを楽しませてくれるか。

リアム本人はずっとオアシスを再結成したいようなことをインタビューでも答えているし,ノエル次第なんだろうなあ。