音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

本を「読む」,音楽を「聴く」とは~養老孟司「ヒトの壁」から考えたこと~

最近書店で買った養老孟司さんの本に,以下のようなことが書かれていた。

 

「ああすれば,こうなる」が成立するように人は社会を構築する。それが都会である。意識の産物であり,理屈が重視される。

その理屈通りにならない可能性のあるものは,徹底して排除する。だから都会には人工物しかなくなってしまう。

私はときどきそれを指摘してみるが,世間にはほとんど通用しない。オフィスには意味のないものを置いてみるといいですよ,と言ったこともあった。意味のあるものだけに囲まれているのはむしろ不自然なのだ。しかし,実行する人は少ない。オフィスにも都会にも,いつまで経っても人工物しか置かない。最近では机さえなくなって,ついには人間さえいなくなってきている。理屈がいちばん通じない人間がいなくなったか。

「ヒトの壁」養老孟司 新潮新書より引用

 

この部分を読んでいて,思い出した話があった。

 

先日,妻がママ友と世間話をしているときに,「読書」の話題になったそうだ。

そのママ友は,家が散らかるのが嫌だという理由で,絵本などは買わずにタブレットを購入し,子どもに読みたい本はそこから読ませていたらしい。

 

しかし,

「失敗した。」

と語っていたそうだ。

 

タブレットは親が管理しているので好きにみることはできない。

周囲に本がある環境にいないと,子どもって自分から本を読もうとしないですよね,とそのママ友は話をしていたという。

 

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我が家には子どもの絵本や児童書だけで200冊以上ある。

私や妻の本も入れると多分千冊以上が本棚に並んでいる。

 

ちなみに,児童書に関しては「童話館」という選書サービスを利用している。

これは,年間契約で定額を払えば毎月2冊子どもの年齢に合わせた児童書が配本される仕組みだ。

 

自分では絶対に選ばないような外国の物語も多く,親もすごく刺激を受けている。

 

児童書類は,子ども達が自分で取り出せるように無印で買った背の低い本棚に収納している。

 

当然部屋の中は散らかる。

 

だけど,例えば三男は「だるまさんが」を片手に私のところへやってきて

「だーるーまさーんがー♪」

と体を揺らして「読んで」と要求してくるし,次男は「おめん」の絵本を自分の顔にあてて遊んでいるし,長男は「ロビンソン・クルーソー」などの名作シリーズにはまって一人で黙々と読んでいる。

 

最早カオスなのだが,本は常に身近にあるため,子ども達は好きに手に取って絵や字を目で追っている。

 

効率化や散らかさないことを考えれば,タブレットで見せることが得策なのかもしれないが,やはり「自分で手に取ってめくる,見る」という経験には勝てない,と思う。

 

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同じことは音楽にも言えるのではないか,と考えたりしている。

 

私はサブスクリプションなるものを利用したことがないため,あまり断定的な物言いはできないが,サブスクこそ音楽から「聴く」という行為だけを抽出した「商品」ではないかと勝手に考えている。

 

でも,音楽って「聴く」だけじゃないんですよね。

そこには少なくとも「身体性」が絡んでくる。

 

CDのジャケットアートワークを眺める。

CDをステレオに差し込む。

「キュゥーン」とCDが吸い込まれていく音がし,「キュルルーン」とステレオがうなり,やがて音が流れ出す。

ライナーノーツを(勿論紙で)読む。

 

この一つ一つの行為の総体が,音楽を「聴く」ということなのだと思う。

クリック一つで「聴く」のは味気ないよ。

 

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ここ数年は仕事が忙しくなったこともあって,あまりCDを買わなくなっていた。

 

しかし最近ジャズや新しいジャンルのロックに興味が出てきたので,この1か月で10枚以上新しいCDを購入した。

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積ん読ならぬ「積ん聴く」

やっぱり新しいCDというのは気持ちがいい。

 

キリンジのベスト盤のアートワーク,実は『KIRINJI』のロゴになってて洒落てるな。」

 

とか思いつつ,早朝から熱いコーヒーを飲みながら,(音量はおさえ気味で)これらを聴きながら読書をする休日の朝大好きです。

 

そうそう。

キリンジのベスト盤本当に良かったです。

教えてくださった皆様,本当にありがとうございました!

 

はてなブログで交流のあるブロガーさんの助言が私自身の音楽体験につながっていくって,素敵なことだなあと思っています。

感謝。

 


www.youtube.com

 

BOOGIEMAN dance with me tonight

マブシっす! ときめき隠せない

MOODYMAN rock with me tonight

飛び込んで 光の中に

BOOGIEMAN dance with me tonight

突っ立ってたって オモシロくない

MOODYMAN rock with me tonight

can't stop the dance とまらないの

 

「Mr.BOOGIEMAN」 作詞/作曲 堀込高樹 

 

本当,「突っ立ってたってオモシロくない」ですからね。