片づけをしながら考えたある曲の元ネタについての話
三連休初日は,片付けをしていて一歩も外に出なかった。
いや。
出たのは出た。
玄関の外に。
玄関横に1週間横たわっていた段ボールから中身を取り出して部屋へ運び入れたのだ。
段ボールの中身は無印良品の書棚だ。
仕事部屋に本がたまりすぎたので,妻と話し合って思い切って大きいのを買うことにした。部屋の側面が埋まるくらいの大きさなので,総重量は95kgだそうだ。
いくら元アメフト部だからと言って,さすがに一人で運ぶのは不可能だ。
近所迷惑かとも思ったが,致し方なく連休初日まで玄関横に鎮座させておくことになったのだ。
梱包を開いて中身を取り出し,部分ごとに運び入れる。
当然,組み立ては自分たちでやらねばならぬ。
ただそこんとこ無印良品はさすがで,組み立ては極力工具いらずでわかりやすいし,説明書もついている。これが海外メーカーのだったら,説明書も付いてなかったり大雑把だったりで結構苦労させられた。
何はともあれ,組み立てと同時進行で本や書類が山積する仕事部屋の片づけをしなければならない。
さらに,それらの作業をすべて三男が昼寝をしている間に済ませねばならないのだ。
時間は限られている。
今回の記事は部屋の書棚の組み立てや片づけの話題が主ではないので端折るが,とりあえず書棚は,無事三男の昼寝時間内に完成させることができた。
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そして,今年に入ってリビングから追いやられ,仕事部屋の片隅で埃を被っていた私愛用のチボリオーディオも,この仕事部屋に居を移して,1か月ぶりに電源につながれたのだ。
ここからが本題。
久しぶりに音楽をかけることができるので,昨日の記事で紹介していたヴェルベッツの1stを聴きながら,片づけの続きをすることにした。
約10年ぶりに聴いてみたが,久しぶりに聴くルー・リードの歌声はわりとすんなり耳に入ってきて,だんだんと心地よくなってきた。
最後の曲が終わるころには
「意外といいのかもしれない。」
と思うほどになった。
以前は受け入れられなかった音楽も,時間が経つことでよさを発見できることがたまにある。
私にとってはベックの音楽もそうで,20代ではよさが分からなかったが,30を過ぎてから好きになった。
ところで,このヴェルベッツの1stには,「I'm wating for the man(ぼくは待ち人)」という曲が収録されている。
畳みかけるようなドラムスが印象的なイントロだが,
「この曲のイントロって,確かオアシスの曲のネタ元になってたな。」
と思い出した。
オアシスの6thアルバム収録の「マッキー・フィンガーズ」。
イントロの畳みかけるようなドラムスの入り方がほとんど同じ。
曲をつくったノエル・ギャラガー自身がインタビューでも答えているのだが,これは意識的にイントロ部分のアイデアを使わせていただいたそう。
ノエルはこのアルバムの制作に取り掛かっていた時期に,よくヴェルベッツを聴いていたそうだ。
ちなみに,このオアシスの6thアルバム「Don't believe the truth」ですが,後期オアシスのアルバムの中では一番おすすめです。
一般的にオアシスは,1st,2ndの出来があまりにいいのでその2枚がフューチャーされることが多いけど,ノエルのほかにボーカルのリアム,ギターのゲム・アーチャー,ベースのアンディ・ベルも曲作りに取り組むようになった本作はメンバーそれぞれが秀作を持ち寄り,なかなかタイトでアグレッシブな作品になっている。
この作品がリリースされたのは2005年の初夏で,大学4年生だった私はひと夏をこのアルバムを聴きまくって過ごした。
オアシスにのめり込むきっかけとなった,思い出深い作品です。
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オアシスのように,誰かの曲を元ネタにして新曲をつくってしまった例は他にもある。
B'zの「バッド・コミュニケーション」なんてまさにそんな一曲。
この曲に関しては,過去記事でも取り上げた「フラッシュ・バック」のほか様々なアルバムに収録されており,初期B'zを代表する名曲といえるのではないだろうか。
イントロの旋律が印象的なこの曲。
どこかで聴いたことがあるという人も多いはず。
この「バッコミ」。
実は元ネタはレッド・ツェッペリン。
「フィジカル・グラフィティー」というアルバムに収録されている「Trampled under foot」という曲だ。
どうです?
ジミー・ペイジのギター,まんまでしょ?
「バッコミ」のほうを先に知っていた私も,後にこの曲を聴いた時にはあまりに似すぎていて笑ってしまった。
B'zのお二人は以前からレッド・ツェッペリンの大ファンだったそう。
特に稲葉さんは,プロのスタジオミュージシャンとして活動していた松本さんがバンドメンバーを探していた時開いたオーディションにやってきて,ツェッペリンナンバーを歌って採用されたというのは有名な逸話だ。
パクリというか,リスペクトするアーティストの名曲からアイデアをもらったということなのだろう。
ちなみに「バッコミ」には英語詞,日本語詞,酔いどれ調など様々なバージョンがあるが,稲葉さんはもともと英語詞で歌うことに慣れているそうで,私も英語詞で聴くのが一番しっくりくる。
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そういえば,星野源も「創造」のイントロで任天堂の「ピコーン」を使ってましたね。
先人の生み出したものをヒントに,新しいものが生まれていく。
それって音楽の話だけでなく,私たちの暮らしや仕事の中にも溢れているのではなかろうか。
新しいものって,もともとあったもの同士を組み合わせたりアレンジしたりする中から生まれてくるものだから。
だからこそ,普段からアンテナは高く張っておきたいものですね。
ただ片づけしてただけなのに,思いがけない気づき。
音楽って,深いですね。
さて連休中日も片付けの続きです。
みなさんもよい休日をお送りください。
それではまた。