音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

2022-01-01から1年間の記事一覧

"生命維持装置"が生み出した最高傑作〜レッチリの前ギタリスト,ジョシュ・クリングホッファーに捧ぐ〜

レッチリの今年二枚目の新作は,各所で絶賛されているようだ。 ギタリスト,ジョン・フルシアンテ復帰後の2作目とあって,試運転を終えた「最高形」の四人は本格的にアクセルを踏み,結成40年にして絶好調モードに突入している。 sisoa.hatenablog.com 一方…

音楽とコミュニケーション〜レッチリ"還ってきた夢食堂"に寄せて〜

発売日に行きつけのCD屋で買って以来,毎朝ずっと聴き続けている。 レッチリの,「リターン・オブ・ドリーム・カンティーン(還ってきた夢食堂)」だ。 前作の「アンリミテッド・ラブ」がやや散漫な印象だったので,正直あまり期待していなかった。 sisoa.ha…

「伝統」を学び,真の「オリジナル」に達したマイルズ・デイビス

以前,「ロッキング・オン」の記事で,「ロック・ミュージシャンが好きなジャズのアルバム」みたいな特集があって,一位に選ばれていたのがマイルズ・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」だった。 BITCHES BREW アーティスト:DAVIS, MILES Columbia Amazon …

YMOとメタファイヴの「制服」比較から,内包されたメッセージを読み解く

朝から仕事をしながら,YMOの「パブリック・プレッシャー」(1980年)とメタファイヴの「METAATEM」(2022年)を繰り返し聴いている。 sisoa.hatenablog.com 最近,YMOのメンバーが着ていた「人民服」についての考察記事を書いたせいで,高橋幸宏関連のCDを聴く…

パンク・ファッション先駆者は,かく語りき

私が,初めて洋楽のロックで夢中になったのはグリーンデイだった。 シングル「マイノリティ」のキャッチーさに心を奪われ,高三の時にはライブにも足を運んだ。 「rockin'on1」2014.04より引用 グリーンデイの面々は,チェックのジャケットやライダース・ジ…

「音楽と服」のもと

昨日,「読書ノート」を一冊つけ終わった。 この一冊に要した期間は,今年の6月26日から10月8日まで。 約3ヶ月か。 平均的なペースと言ってもよいだろう。 私は2016年の9月から,かれこれ6年以上,毎日ノートをつけ続けている。 この習慣を始めてからは,1…

プライベート・アイズ

今はどうか知らないが,私の学生時代にはやたらと洋楽のオムニバスCDが売れていた。 「ダンス・ヒッツ」や「70sロック・ヒッツ」など,大衆受けするようなロックやダンス・ナンバーなどを集めた企画物がよく出ていた。 私はそういったCDにはほとんど手を出し…

YMOの「人民服」が私たちに語りかけること

今月の「メンズ・ファッジ」をパラパラとめくっていると,「カルチャー」のページに紹介されている本に目が留まった。 その本のタイトルは,「音楽とファッション」。 音楽とファッション 6つの現代的視点 作者:青野 賢一 リットーミュージック Amazon まさ…

トム・ヨークって実は物凄くお洒落だったという話

私が大学生の頃,レディオヘッドは世界一影響力のあるバンドだった。 村上春樹の小説「海辺のカフカ」でも,家出したカフカ少年は「レイディオ・ヘッド」を愛聴していた。 だから私も彼らの音楽を理解したいと思って,当時代表作とされていた「OK Computer」…

ローデッド!!

最近,一日の中で音楽に触れる時間は,早朝に仕事をする時間帯と,通勤,退勤時にカーラジオを聴く時間に限られている。 早朝の時間帯はあまり音量を上げると近所迷惑だし家族も起きてしまうので,かなり絞っている。 そのため,BGMとしてあまり耳に残らず,…

ジョンに憧れたリアム

オアシスはいくつかライブDVDを出しているが,2000年夏にウェンブリースタジアムで行われたライブの様子を収録した「ファミリアー・トゥ・ミリオンズ」は同名でCD化もされ,オアシスファンにとっては最も馴染み深いライブ盤と言えるのではないだろうか。 こ…

アークティック・モンキーズの変貌

「ロッキング・オン.com」に,アークティック・モンキーズがLAで開催されたフェスの大トリを務めたという記事が出ていた。 rockinon.com アークティック・モンキーズ! 2000年代以降のUK・USロックに少しでも触れたことがある人で,彼らの名を知らぬ者はいな…

秋になったらスピッツを聴きたくなる

なぜでしょう。 スピッツを聴きたくなるのは,決まって涼しくなってきてから。 事実,スピッツ関連の記事を書くのは半年ぶりくらいじゃなかろうか。 sisoa.hatenablog.com これまでスピッツ関連の記事は沢山書いてきたが,何故か「ファッション」の観点では…

英国民と私が選ぶ「愛するオアシスの曲+アルバム」

「ロッキング・オン.com」をチェックしていたら,ロンドン特派員の児嶋由紀子さんが興味深い記事を書いていた。 そのタイトルが, 「『英国民が愛するオアシスの曲+アルバム』の最新アンケート結果が発表!」 既に解散から10年以上が経っているものの,本国…

バイバイ,METAFIVE!

車が,まだこない。 ディーラーから「8月末」と言われていた納期予定はとうに越え,次は「10月中」ということだった。 もう何も信じられない。 契約してもうすぐ一年。 ディーラーは10月と言っているが,それもまたずれ込むことだろう。 年内の納車は無理だ…

「ビートルズと服」の8年間

初めて買ったビートルズのCDは,「1」であった。 久々のオフィシャルベストということで,当時結構話題になり,久米宏さんがメインキャスターを務めていた「ニュースステーション」では,2週間ほど特集が組まれた程だ。 それは,アルバムに収録されたビート…

Do you Remember?

「Do you Remember?」 運転中にカーラジオを聴いていると,ナビゲーターが突然,私に呼びかけた。 そのフレーズからすぐにその意図を察した私は 「くるな。」 と身構えて待ったが,「あの曲」はかからない。 再びナビゲーターが問いかける。 「Do you Remem…

ロック・アーティスト秋めきファッション3選

ようやく朝夕に涼しさが感じられるようになってきた。 この記事を書いているのも早朝だが,冷房はつけていない。 昨日,子どもたちを連れて立ち寄ったコンビニで買った「メンズ・ファッジ」最新号も特集は「この秋,ちょっと”やんちゃ”が面白い」。 いよいよ…

ブラーの成長と「罪の意識」

夏が過ぎ去ってしまった。 現在台風が北上中で,早朝からおどろおどろしい風のうねりが聞こえているが,もうじきやむことだろう。 この台風が過ぎれば,いよいよ秋めいてくるのではないだろうか。 ところで夏の盛りの頃,一枚のアルバムを購入していた。 そ…

21世紀の「ラジオスターの悲劇」

先日,夕方の情報番組を何ともなしに見ていたら,一風変わった始業式のことを報じていた。 不登校の子どもたちが,アバターとして自宅のPCからバーチャル登校するという取り組みだ。 RPGのゲームのような画面上で,自身のアバターを操作して「登校」し,授業…

憧れの2トーン・スカ

最近,チャック・ベリーが亡くなった。 言わずと知れたロック開祖の一人であり,ビートルズやローリングストーンズらに多大な影響を与えたギタリストだ。 ストーンズのキース・リチャーズなんかも,少年時代からチャック・ベリーやリトル・リチャードらに憧…

グッバイ,青春

トレッキングシューズが壊れた。 先日,とあると事情で登山をすることになって,久しぶりに靴棚から出して履いて行ったのだが,写真でお分かりの通り,ソールがつま先の部分から剥がれ,無残にも壊れているのが確認できる。 七合目あたりで,やたらに靴の底…

1989年のThe Stone Rosesは,現在のトレンドの源流である説

誰しも,これまでの人生における「忘れられない一枚」があるのではなかろうか。私にとってのそれは,ザ・ストーン・ローゼズの「 THE STONE ROSES」である。このアルバムの魅力を言葉で表現するのはなかなか難しい。音の輪郭ははっきりしていないし,ボーカ…

1970年代,世界で最も影響力のあるファッション・アイコンだったキース・リチャーズ

先日,博多駅の大型書店を訪れたら,ずっと探していた「ロッキング・オン」の最新刊がようやく見つかった。 「JAPAN」は小さい書店の音楽コーナーに置いてあることも多いが,「ロッキング・オン」は最近ではまず見かけない。 タワーレコードなどの大型CDショ…

ポップ・ミュージックの本質を射抜くベックの矜持

最近,ケンドリック・ラマーのアルバムを聴いている。 ヒップ・ホップだけは,昔からどうも食わず嫌いしていたのだが,ここ数年のポップ・ミュージックの動向を見ていると,どうにもそこはスルー出来ないと思うようになったからだ。 デヴィッド・ボウイも,…

あの夏の「To be with you」

高校最後の夏休み。 私が通っていた高校は,地元では一応名門として認知される学校だった。 ただそれも地元の人たちの感覚で,偏差値がそこまで高いわけではなく,あくまで「田舎の名門」というくらいのレベルだった。 まあそれでも,大半の生徒が受験勉強を…

20年の時を超えて響いた宇多田ヒカルの言葉

私は宇多田ヒカルと同じ1983年生まれである。 学年は彼女のほうが一つ上だけど,まあ同世代と言ってもよいだろう。 この世代は,なんとも中途半端な世代で,いわゆる就職氷河期世代の下,ゆとり世代の上で,その狭間世代と言ったところか。 物心がついた頃…

レッチリの「次」を直近2作品から占う

レッチリの新作が出るそうな。 お恥ずかしいことに,全然動向を把握しておらず,普段から交流させていただいている,トビウオギタオさんのブログを読んでから知った。 「rockin'on.com」を確認すると,なんと7月25日に記事が出ていた。もう1ヶ月くらい前に…

「ブルース」でつながるジャック・ホワイト~ザ・ローリング・ストーンズ

8月になってからずっと,ジャック・ホワイトが今年になってリリースした二枚のアルバムを聴いている。 sisoa.hatenablog.com ジャック自身も語っていたが,この二枚の作品は対になっている。 最初に出た「Fear of the Dawn」 では激しいギター・リフをかき…

ある世界最高のロックンロールバンドのドラマーについての話

先日,久しぶりに子どもたちを連れて地域の図書館へ行ってきた。我が家の隣には区役所の出張所があり,そこには地域図書館も併設されている。やや小ぢんまりしているものの, 子ども用の絵本が充実していて,読み聞かせスペースもあるのでたまに利用している…