音楽と服

音楽と服について好き勝手に語ります

ブラーの成長と「罪の意識」

夏が過ぎ去ってしまった。 現在台風が北上中で,早朝からおどろおどろしい風のうねりが聞こえているが,もうじきやむことだろう。 この台風が過ぎれば,いよいよ秋めいてくるのではないだろうか。 ところで夏の盛りの頃,一枚のアルバムを購入していた。 そ…

21世紀の「ラジオスターの悲劇」

先日,夕方の情報番組を何ともなしに見ていたら,一風変わった始業式のことを報じていた。 不登校の子どもたちが,アバターとして自宅のPCからバーチャル登校するという取り組みだ。 RPGのゲームのような画面上で,自身のアバターを操作して「登校」し,授業…

憧れの2トーン・スカ

最近,チャック・ベリーが亡くなった。 言わずと知れたロック開祖の一人であり,ビートルズやローリングストーンズらに多大な影響を与えたギタリストだ。 ストーンズのキース・リチャーズなんかも,少年時代からチャック・ベリーやリトル・リチャードらに憧…

グッバイ,青春

トレッキングシューズが壊れた。 先日,とあると事情で登山をすることになって,久しぶりに靴棚から出して履いて行ったのだが,写真でお分かりの通り,ソールがつま先の部分から剥がれ,無残にも壊れているのが確認できる。 七合目あたりで,やたらに靴の底…

1989年のThe Stone Rosesは,現在のトレンドの源流である説

誰しも,これまでの人生における「忘れられない一枚」があるのではなかろうか。私にとってのそれは,ザ・ストーン・ローゼズの「 THE STONE ROSES」である。このアルバムの魅力を言葉で表現するのはなかなか難しい。音の輪郭ははっきりしていないし,ボーカ…

1970年代,世界で最も影響力のあるファッション・アイコンだったキース・リチャーズ

先日,博多駅の大型書店を訪れたら,ずっと探していた「ロッキング・オン」の最新刊がようやく見つかった。 「JAPAN」は小さい書店の音楽コーナーに置いてあることも多いが,「ロッキング・オン」は最近ではまず見かけない。 タワーレコードなどの大型CDショ…

ポップ・ミュージックの本質を射抜くベックの矜持

最近,ケンドリック・ラマーのアルバムを聴いている。 ヒップ・ホップだけは,昔からどうも食わず嫌いしていたのだが,ここ数年のポップ・ミュージックの動向を見ていると,どうにもそこはスルー出来ないと思うようになったからだ。 デヴィッド・ボウイも,…

あの夏の「To be with you」

高校最後の夏休み。 私が通っていた高校は,地元では一応名門として認知される学校だった。 ただそれも地元の人たちの感覚で,偏差値がそこまで高いわけではなく,あくまで「田舎の名門」というくらいのレベルだった。 まあそれでも,大半の生徒が受験勉強を…

20年の時を超えて響いた宇多田ヒカルの言葉

私は宇多田ヒカルと同じ1983年生まれである。 学年は彼女のほうが一つ上だけど,まあ同世代と言ってもよいだろう。 この世代は,なんとも中途半端な世代で,いわゆる就職氷河期世代の下,ゆとり世代の上で,その狭間世代と言ったところか。 物心がついた頃…

レッチリの「次」を直近2作品から占う

レッチリの新作が出るそうな。 お恥ずかしいことに,全然動向を把握しておらず,普段から交流させていただいている,トビウオギタオさんのブログを読んでから知った。 「rockin'on.com」を確認すると,なんと7月25日に記事が出ていた。もう1ヶ月くらい前に…

「ブルース」でつながるジャック・ホワイト~ザ・ローリング・ストーンズ

8月になってからずっと,ジャック・ホワイトが今年になってリリースした二枚のアルバムを聴いている。 sisoa.hatenablog.com ジャック自身も語っていたが,この二枚の作品は対になっている。 最初に出た「Fear of the Dawn」 では激しいギター・リフをかき…

ある世界最高のロックンロールバンドのドラマーについての話

先日,久しぶりに子どもたちを連れて地域の図書館へ行ってきた。我が家の隣には区役所の出張所があり,そこには地域図書館も併設されている。やや小ぢんまりしているものの, 子ども用の絵本が充実していて,読み聞かせスペースもあるのでたまに利用している…

日本人は四つ打ちのビートが好きな民族なのです。なぜなら

私はこれまで,フジロックなどのフェスも含め,洋邦問わず多くのアーティストのライブに何回も足を運んできた。 数が多いので,当然心残りなことはいくつかあるのだが,その中でも一番の後悔が2008年のフジロックだ。 その後悔とはこの年,二日目のヘッドラ…

80年代デヴィッド・ボウイのファッションと現在のトレンドとの共通点を探る

ラルフローレンの公式LINEから,新着メールが届いていた。 そろそろ秋物の提案が始まっているようだ。 ラルフローレンと言えば,ドレスシャツ,カジュアルシャツもラインナップは豊富。 ラルフローレンLINE公式より引用 ラルフローレンのストライプシャツっ…

俺ジャケ「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」

昔,「ロッキング・オン」に「俺ジャケ」というコーナーがあった。漫画家の天久聖一先生が,古今の名作アルバムのジャケットを勝手にアレンジして描きかえるという企画だ。アルバムのチョイスが絶妙で,しかも説明は一切なし。デザインだけで勝負という潔さ…

ボブ・ディラン,その音楽性の変化とファッション考察

コロナでの療養も1週間が経った。 ぼちぼち味覚・嗅覚障害も改善されてきた。 コーヒーの匂いも分かるようになってきた。 匂いや味を感じられるって,とても幸せなことです。 今回罹患して一番よかったことは,そんな当たり前のことを再確認できたことかもし…

ロックの神様は「持っていない奴」に微笑む

夏の 甲子園が始まった。コロナで家にいるしかないので,ずっとテレビを観ている。開会式の後,始球式があったのだけど,出てきたのが斎藤佑樹だった。ハンカチ王子だ。2006年の夏,田中将大との投げ合いを制して一躍国民的ヒーローになった佑ちゃん。内角高…

「青の男」ジャック・ホワイトが鳴らし続けるギターロック

ジャック・ホワイトと言えば,若いロックリスナーからすると,今年のフジロックでヘッドライナーを務めた,シンガーソングライターなんだけど,やたらギターノイズの激しいおじさんって感じか。 そこそこ年齢のいったロックリスナーなら,「あのホワイトス…

コロナ・ロック・プレイリスト~ポール・マッカートニー「NEW」~

コロナ陽性になった。 一昨日から鼻水,関節痛がひどいと思っていたが,昨日検査して即陽性が判明。 しかも息子2人と妻も陽性。 4歳の次男だけは平熱で元気だったので検査を免れたが,そもそも彼が月曜に発熱していたから,おそらく感染源だろう。 つまり仲…

フジロック戦記2022

地下鉄福岡空港駅の改札をくぐる。 時計を確認すると,18時10分だった。 19時発の羽田行きまであと50分ある。 よし,間に合う。 背中に背負ったノース・フェイスのバックパックは肩に食い込み,右手には折り畳みテント,左肩には折り畳み椅子を下げ,木曜ま…

Dreams

「本物の自分?そんなの,いるのかな?一生,みつからないんじゃないのかな。」 短くなった煙草を灰皿でもみ消しながら,編集長は呟いた。 その目は,向かい合わせに座っている私ではなく,どこか遠い一点を見つめている。 茶色のチェックのジャケットに,少…

メタファイブのラストアルバムはロックの未来を映すのか

メタファイブ,ラストアルバムリリース。 例のごとく,カーラジオを聴きながら帰宅していると,突然ナビゲーターがそう言い放ち,続いて曲紹介に入った。 新曲,「Wife」。 イントロから,もう「おおっ!」と身を乗り出してしまう,2022年にYMOが復活したか…

2000年以降の音楽ムーヴメントとファッショントレンドについての考察

これまで,当ブログでは,60年代後半のヒッピー・ムーヴメントや,90年代前半のブリットポップ・ムーヴメント等とファッショントレンドの関係性について記事にしてきた。 sisoa.hatenablog.com sisoa.hatenablog.com 言わずもがな,音楽のムーヴメントとフ…

ブリットポップお洒落番長・ブラーの今と昔

「ロッキング・オン.com」を眺めていたら,なんとデイヴ・ロウントゥリーがソロでシングルを出していた。 デイヴ・ロウントゥリーとは,イギリスのバンド,ブラーのドラマーとして知られている。 ブラーというバンドは,90年代に起こった「ブリットポップ」…

UKのメランコリックで内省的なバンドが好きだ

私のことである。 なぜか昔から,UK(イギリス)のバンドがつくる曲に惹かれていた。 アメリカのスカっとしたパンクや,大仰なメタルではなく。 ロンドンの曇り空を想像させるような,イギリスのギターロック。 最近,昔買った本を読み返している。 今読んで…

音楽業界のこれからについて勝手に想像してみた

先日,夕方カーラジオを聴きながら帰宅していると,パーソナリティーが音楽業界の今後について,私見を述べていた。 「僕は最終的には音楽ってライブという形態だけが残ると思うんですよね。最終的にはですよ。」 ミュージシャンでもあるそのパーソナリティ…

「白」が似合う男たち

福岡では先日,博多祇園山笠のフィナーレ,「追い山笠」が三年ぶりに行われた。 早朝,テレビをつけたら山笠の中継をやっていて,「山のぼせ」たちの久しぶりの熱気にしばし見入ってしまった。 「追い山笠」は,その年の一番山笠が朝の5時前に櫛田入りし,…

日本人が好きなロック,好きではないロック

先日,演歌と西洋音楽について考えたことを記事にしたのだけど,あれから歌謡曲っぽいメロディーを日本人が好むという持論を昔誰かがしきりに展開していたことを思い起こしていた。 sisoa.hatenablog.com それで,思い出したのは渋谷陽一だったということ。 …

はてなブログを見て買い物よもやま話

はてなブログを始めて1年と半年が過ぎようとしている。 私の場合は「sisoa」として今のブログを始める前に,別のハンドルネームで約3か月活動していたので,活動開始は昨年の2月末だ。 その間,様々な方のブログにお邪魔したり交流をさせて頂いたりして今日…

演歌と西洋音楽について

先日紹介した本「小澤征爾さんと,音楽について話をする」という本の続きを読んでいたら,小澤さんが興味深いことを語っていた。 sisoa.hatenablog.com 小澤:山本直純さんが持っていた「オーケストラがやってきた」っていうレギュラー番組がありまして,そ…